地球温暖化は、いつから議論されているのか?

地球温暖化議論の始まり

 地球温暖化現象の科学的調査が始まったのは、1950年代の末からである。カリフォルニア大学のロジャー・レヴェルとチャールズ・デービッド・キーリングは、1958年からハワイのマウナロア観測所にて大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の精密な観測を開始した。そして、1961年、観測結果からCO2濃度が季節的な周期変動以外に、長期的に上昇していることを世界で初めて示した。彼らの調査結果から、CO2は毎年2ppmほど増加していることが明らかとなった。その後も観測は続けられ、CO2濃度は1958年には315ppm、2005年に381ppm、2018年には406ppmへと一貫して上昇していることが示された。

 長期間の大気調査から得られたCO2濃度の上昇曲線は、キーリングの名にちなんで、キーリング曲線と呼ばれている。
 この調査結果が重要なのは、CO2濃度の上昇が産業革命以降の化石燃料の使用拡大と相関性を示しているからだ。
 氷床コアに閉じ込められた気泡から過去のCO2濃度が測定できるが、その調査結果から、完新世(紀元前9000年)から産業革命が始まる前の二酸化炭素濃度は、280ppm前後で安定していたと推測されている。

CO2はじめとした温室効果ガスの増加

 CO2は最も代表的な温室効果ガスであり、温室効果ガス排出量全体の80%を占めている。大気中におけるCO2濃度の上昇と気候変動には相関性があり、科学的に証明されている。現在、それを覆すような科学的調査は現われていない。もちろん陰謀論を除いてだが。

 温室効果ガスはCO2だけではない。他にもあり、それらもまた人為的な活動によって増加の一途を辿っている。

メタン
 大気中に存在しているメタンの60%は人為的な活動によるもの。
 主な排出源は、埋め立て地、化石燃料の燃焼、排水処理場、畜産場などである。大規模な畜産場では、液状厩肥(きゅうひ)をためるタンクからメタンが発生する。一方、家畜ではなく野生の動物から自然に排出された糞尿からはメタンは出ない。
亜酸化窒素
 主な排出源は、窒素肥料、化石燃料の燃焼、森林や農業廃棄物の燃焼など。
SF6(六フッ化硫黄)/ PFC(ペルフルオロカーボン)
 アルミニウム精錬や半導体製造といった産業活動によって大気に排出される。
 人間の活動以外からは一切発生しない。
HFC(ハイドロフルオロカーボン)
 空調の冷媒として使われる。フロンガスの代替用品として広まっている。
水蒸気
 実は水蒸気にも温室効果がある。気温の上昇によって大気中の水蒸気の量が増えていて、温暖化の悪循環をつくり出している。

 CO2をはじめとしたこのような温室効果ガスの排出に伴って、一貫して気温は上昇し続けている。地球温暖化は、60年以上の調査の蓄積がある議論であり、科学的根拠に基づいたものだ。科学的な正当性を議論する段階はとうに過ぎている。

参考

アル・ゴア『不都合な真実』(2017)