文在寅の小中華思想 – 近代国家と国際条約の理念を覆す危険な発想

予想の斜め上を行く韓国

 文政権下で日韓関係が悪化する中、韓国政府による日本批判が、日々激しさを増している。
 日本は、韓国に対して、自らの立場を説明し、批判には一つひとつ丁寧に答えて行かなくてはならない。

 しかし。。。

 韓国側からの批判は、しばしば、唖然とさせられるような理解に苦しむものがある。特に文政権以降、その傾向は顕著だ。

 日韓の軍事情報包括保護協定「GSOMIA」の破棄に際して、韓国大統領府の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長が述べた発言。

「日本側の対応は単純な拒否を越えて、われわれの国家的自尊心まで傷つけるほどの無視で一貫し、外交的欠礼を犯した」

(FNN 2019年8月23日)

 。。。??

 日本の一体、何に対する批判なのか、一向に見えてこない。

 他の大統領府関係者からは、GSOMIAの破棄決定に関して、次のような説明もなされている。

「状況が厳しい時こそ原則が重要だ。名分も、実利も重要で、なにより国民の自尊心を守ることが大切だった」

ハンギョレ新聞 2019年8月23日

 韓国側がしばしば持ち出してくる「外交的礼儀」というのが一体何を指しているのかが良く分からない。
 日韓の国際条約に関しての議論に「自尊心」といった話を持ち出されても、日本としては困惑するだけだ。いったい何を議論しているのかまるで分らない。
 韓国政府が日本を批判する際にいう「礼儀」とは、結局、「目上の韓国に対して、日本が楯突くとは何事だ!」と言っているに等しい。ほとんど内容がない。

 そして、日本人を最も驚かせた驚愕の発言。。。
 日本の輸出管理における優遇国から韓国の除外が正式に始まった際の文大統領の発言。歴史問題に言及して次のように述べている。

一度、反省の言葉を述べたから反省が終わったとか、一度、合意をしたから過去が全て過ぎ去り、終わりになるというものではない

朝日新聞デジタル

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は29日午前の閣議で、日本政府が輸出手続きを簡略化できる優遇国から韓国を除外したこと…

 衝撃的な発言だ。一切の外交的努力と交渉、そして、国際条約を無意味なものとしている。。。
 もう外交という次元の話ではない。近代国家間の国際的枠組みがすべて無意味になる。文大統領は、自分で何を発言しているのか分かってるのだろうか。

 過去の歴史問題に関して、もう解決の糸口は全くないことを大統領自らが宣言してしまっている。

 外交とは折衝交渉が目的であり、互いの妥協点を探る場だ。そのためには、日本側も批判に対して、受け入れる点は受け入れる、反論するべき点は反論するという姿勢が必要になる。

 だが、この数か月、韓国政府による批判は、予想の斜め上を行き過ぎて、一体何を考えているのか全く掴めないものが多い。これではそもそも議論にすらならない。話が全くかみ合わない。

 なぜにこのようなことが起きるのだろうか?

文政権の思考回路 – 小中華思想

 相手が何を考えているのか分からなければ、そもそも反論のしようがない。

 一体、どういった発想で、このような批判が飛び出してくるのか。

 文政権の一連の日本批判から見えてくることは、結局、韓国が国際法や立憲主義、民主主義といった近代社会の理念ではなく、儒教的な発想に基づいて国際関係を理解しているということだろう。

 中国を中心として周辺国を儒教的価値観で序列付け、儀礼的な序列関係に従って秩序を保つ―――こうした中華思想に基づく韓国人の態度は、しばしば「小中華思想」などと呼ばれて揶揄されてきたが、それはあくまで一部の政治家や著名人の態度の問題であって、それ以上の問題ではなかった。

 。。。はずだった。。。

 しかし、どうも最近の文大統領をはじめ韓国政府からの数々の発言は、本気で立憲主義、法治国家、国際条約といった近代的概念を理解していないのではないかと思えるようなものが多い。

 文政権は、どうやら本気で国際関係を小中華思想に基づいて理解している可能性がある。近代的な用語で粉飾していても、言っている内容は小中華思想そのものだ。

 儒教的な発想における秩序関係は「長幼の序」に基づいている。この関係性では、年少者は年長者に対して敬い従うことを要求される。これは生まれながらにして、すでに決まっているもので、個人の資質や努力などの要素は一切関係がない。生まれた条件によって決定される関係性で、個人は否応なく、これを受け入れる他ない。
 そして、この関係性は永続的で変化することがない。この関係性に疑念を抱くこと自体が、非倫理的なものとして非難される。これを国際関係にまで持ち込んで理解しようとするのが、中華思想だ。
 今の文政権を見る限り、この前近代的な思想を韓国はいまだに現代においても持ち続けていると言わざるを得ない。

 韓国の儒教的観念からすれば、日本は目下の存在になる。目下のものは目上の者に対して恭順の態度を示さなければならない。この関係性は、歴史的にすでに決まっているものであって、今後どんなことがあっても決して変わらない。変わること自体が非倫理的な行いだからだ。
 今の文政権はこの関係性を日本に強要しようとしてきている。しかも歴史問題を口実にしてだ。この時代錯誤で極めて前近代的な小中華思想を歴史問題を使って正当化しようとしているのが韓国の実態だと見るべきだろう。文政権に至ってこうした態度が露骨に出てきている。

 歴史問題が解決しないのはある意味必然だろう。日本が国際法に則り国際条約によって解決しようとしているものを、韓国は小中華思想に基づく長幼の序を糺すための問題として捉えているのだから、埒が明くわけがない。
 文政権の数々の発言から読み取れることから考えれば、韓国にとっての歴史問題の解決とは、日本が「長幼の序」に従って、永遠に恭順の態度を取るということになる。未来永劫に亘って日本は韓国に謝罪しなければならない、というのは小中華思想を基本として考えなければ、絶対に出てこない発想だ。小中華思想に対等な関係性というのはない。

 文政権の小中華思想は、かなり強烈なもののように思える。
・経済的な大国となった中国へ政治的経済的にもすり寄ろうとする態度。
・北朝鮮との経済統一路線。
・歴史問題による強烈な反日思想。

 こうした文政権の政策路線が、日韓関係を軽視し、小中華思想に基づく上下関係を正当化する背景となっている。

 韓国が小中華思想に囚われ続けている限り、対等な国際関係を結ぶことは難しい。
 近代国民国家を前提とした国際社会の秩序と中華思想に基づく世界秩序の対立―――かつての明治政府が直面した同じ問題に今また日本は、取り組まなければならない。日本は、韓国が全く異なる世界観の中を生きているということを十分にわきまえた上で、今後の日韓関係を構築していかなくてはならないだろう。