インフレ政策目標(インフレターゲット Inflation Targeting)とは、政府や中央銀行による通貨政策によって、通貨供給量と流動性を調整し、物価上昇率(インフレ率)を2%前後の一定の範囲内に収め、緩やかなインフレへと誘導するマクロ経済政策のことを言う。金融政策の一つ。
インフレターゲットの特徴は、以下のようにまとめられる。
①数値目標の設定
中央銀行の金融政策の目的を、「インフレ目標」の達成、維持とし、達成すべきインフレ率を、明確な数値で示す。
②達成期間の明確化
インフレ目標の達成期間は中期で、具体的には、一年半から長くても二年。
③数値目標は政府が決定
数値目標の達成手段は中央銀行が決める。
④説明責任
達成できなかったときには、中央銀行は国民に対して明確な説明責任を負う。
⑤動学的整合性
政策実施後に、目標を変更しない。p192 岩田規久男『デフレと超円高』(2011)
インフレターゲットで重要なことは、国民の間にインフレ期待を形成することである。インフレ率に数値目標を定めるのは、必ずしもその数値の達成そのものが目的ではない。むしろ、その数値に依拠したインフレ期待を起こすことの方に重点がある。物価水準を日銀が保障することで、個人、家庭、企業などの経済主体が、景気の動向をつかみやすくする。インフレ期待に伴って、投資や消費を促し、安定的な経済成長につなげることを目標とする。
参考
岩田規久男『デフレと超円高』(2011)