買い物は、すべてカードで―――
アメリカ人はなぜ、貯蓄率ゼロでも暮らしていけるのか?
アメリカの一般的な考えは、今、手元に現金がなくても、カードによって支払えばよい、ローンも組めるだけ組んで、不動産や株を購入すればいい、といったもの。
給料は毎年上がるし、株価も不動産価格も毎年上昇する。物価が上がり給料も上がれば、借入金は相対的に目減りする。資産の値上がり益によって、借金は借り換えれば問題ない。。。はずだった。。。
だが、2008年のリーマンショックですべての風向きが変わってしまった。
個人の借金は、そのまま金融機関の不良債権となり、多くの人が破綻した。
しかし、景気が再び回復傾向に向かうと、人々はまたカードで買い物をし始めた。カードによる個人の借り入れ金額が、再び上昇し始めている。。。
(* `・д・) : やっぱり、カードで借金をして、消費を続けるってすごく不健全に見えるよね。
(=´・ω・) : アメリカのクレジットカードは、「Minimum Payment」っていう日本のリボ払いに似たような制度で、毎月一定の金額を払い続けることで、支払いを先延ばしていく支払い方法が一般的なんだよ。
だから、自分の購買力以上の消費をしちゃうんだな。。。それで、自分がいくらのお金を消費してるのか、感覚が分からなくなっていって、気が付くと、借金が膨大な金額になってたりする人が続出したんだ。
(* `・д・) : リボ払いだけは、やめとけって、ばっちゃんが言ってた。
(=´・ω・) : リボ、ダメ。ゼッタイ。
(* `・д・) : でも、アメリカは、それで消費が回っていたっていう側面もあるんでしょ。
(=´・ω・) : そう。
アメリカが基本的にデフレに陥らずに、インフレ目標を達成できているのは、政府が金融緩和を行って、それが国民の消費に回るっていう良い循環が生まれているからだよ。
日本は逆に貯蓄率が高すぎて、消費に回らないから、いつまでたってもデフレから抜け出せない。
(* `・д・) : だとすると、アメリカ人は、貯蓄をしないで、今の消費に全部使っちゃうような将来のことをあんまり考えないような生活しているから、経済が好調で、一方の日本人は、慎重な性格で、将来のことを第一に考えるから、デフレになっちゃうってこと?
だとしたら、どっちの方が良いんだろうね。
(=´・ω・) : よく、そういう日米比較がされるけど、そういう見方自体が間違ってるんじゃないかな。
前の記事で、アメリカ人の貯蓄額の低さを紹介したけど、貯蓄額の低さだけを見て、アメリカ人の生活様式を批判するのは短絡的だなー。そういう見方してる日本人いっぱいいるけど。
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貯蓄額だけを見て、アメリカ人が将来のことを考えていないって思うのは、まったくの間違いだよ。まぁ、3割強の人が貯蓄額ゼロってのは、さすがにマズイだろとは思うけど。
でも、アメリカ人の家計の資産構成比率を見ると、債権、投資信託、株式の比率が合わせて51.8%もあって、日本人の貯蓄率52.7%にほぼ同じくらいの規模になるんだよ。
【参考記事】
・日本の家計資産残高は増加、1746兆円に…日米家計資産推移(2016年Q2分) – Garbagenews
(* `・д・) : へー。日本人が貯蓄する分を、アメリカ人は投資してるって感じなのかな。
(=´・ω・) : そうだよ。
アメリカ人が将来の生活を考えてないんじゃなくて、むしろ、将来の生活のことを考えているから、個人個人が金融リテラシーを磨いて、投資で将来のインフレに備えようとするんだよ。
それに、アメリカみたいに、個人が消費して、個人が主体となって投資する方が、国民が本当に望む企業や産業にお金が回りやすくなるんだよ。
(* `・д・) : 日本じゃ、個人で投資することって少ないから、投資は金融機関が中心だよね。
(=´・ω・) : そう。しかも、国債の運用ばっかり。
これだと国と官僚にいいように使われて、本当に国民が望む成長産業にお金が回らない。天下り企業みたいな既得権益層にばかりお金が行く。
(* `・д・) : じゃぁ、やっぱり、アメリカみたいに個人がじゃんじゃん消費して、自分で投資していった方がいいのかな?
(=´・ω・) : 身の丈に合わない過剰消費をばんばんするのがいいとは思わないけど、個人主体の消費や投資活動が、新しい成長産業を生む要因の一つになっていることは確かだよね。
(* `・д・) : 節約と貯蓄は日本人の美徳だと思ってたのに。。。
(=´・ω・) : もちろん最低限の貯蓄は必要だよ。
でも、貯蓄なんてもっともあほな非効率な資産管理で、経済ってのは一般的に将来どんどん成長して、規模が大きくなっていくものだから、現金資産は、20年、30年っていうような超長期的に見たら、目減りしていく一方の資産なんだよ。
そうすると、貯金一辺倒で、金融リテラシーの低い日本人の方がよっぽど将来のことを考えてない、とも言えるんだよ。
しかも、貯めたお金は、国債運用ばっかりで、ろくな使い方されてない。
(* `・д・) : へー。ものの見方って面白いね。
アメリカ人からしたら、貯蓄率の高い日本人の方が将来のこと考えてなくて、「現金頼り」一辺倒になってるように見えるのかな。
(=´・ω・) : そう。
しかも、個人で資産管理しない分、国の社会保障制度に極端に依存している。
でも、その頼りの国が、北欧みたいに信頼できる制度の下で、しっかりとした社会保障を行っているわけじゃ全くないし。
日本の政治は、あまりにお粗末で、まともに信用できる年金制度を構築できてない。
年金流用やら年金情報の喪失やら、不祥事は絶えないし、明らかに制度的に破綻している賦課方式を政治的な理由からいつまでたっても改革できないでいる。
ほんと、日本国民って、海外から見たら、国に頼ってばかりで、ただおとなしく搾取されてるだけの羊みたいな国民に見えてるんじゃない?
(* `・д・) : なんだか、身も蓋もないなー
(=´・ω・) : アメリカでは、国家は信用できないっていう考え方が、個人の間に根強くあるから、地域社会や家族のつながりっていうのは、日本以上に強いんだよ。
サブプライムローンで破綻して家や財産を失って、行き場をなくした人がたくさん出たとき、それを親族や地域社会、教会やNGO、ボランティア団体が助けに入っていた話は、当時よく報道されていたよね。
(* `・д・) : そういえば、教会の役割が再評価されてるっていうニュースは見たなー。教会が、行き場を失った人たちを一時的に保護したりしてたよね。
(=´・ω・) : アメリカではまだ政府以外のセーフティネットがちゃんと機能しているんだよ。そういう意味では、アメリカの方がよっぽど集団主義的な社会で、日本の方が個人主義的な社会だよ。
日本人は、将来、頼れるのは自分しかいない、誰も助けてくれないっていう不安があるから、国にものすごく依存するし、貯蓄に一生懸命励むのかもね。
日本は、まさに「お一人様」文化だよ。
【次回】
アメリカ経済が回復する理由
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