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【大企業名一覧】追い出し部屋とは? – 整理解雇のの難しさが生んだ現代日本の怪談

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追い出し部屋とは?

 追い出し部屋———

 それは、現代日本の怪談話である。夜な夜な、日本の一流企業と言われる大企業の一室から、泣き声が聞こえてくるという。。。それも、大の大人の、おっさんの泣き声だ。。。

 いちま~い、にま~い、さんま~い、よんま~い。。。
 ノルマに一枚足りな~い。。。

 夜通し契約書の枚数を数えているという。。。

 一応、日本でも80年代頃までは景気が良かった。しかし、90年代初頭にバブル経済が崩壊し、株価と地価が暴落、不良債権が社会問題化した。それ以降は長い停滞期に入る。「失われた10年」とも言われたが、すでに20年以上が過ぎている。このままでは、すぐに「失われた30年」と呼ばれるようになるだろう。実際、もう2015年なのだから。

 この長期にわたるデフレ経済の中で、企業は生産の縮小を進めている。そうなると問題となるのは、好景気時代に大量採用した人員である。過剰な労働力が経営を圧迫するようになり、現在では人員整理が喫緊の課題となっている。しかし、日本では経営上の理由による整理解雇の要件が非常に厳しく定められている。

 よく指摘されることだが、日本は海外と比べて労働市場の流動性が極めて低い。解雇も容易ではなく、転職市場も未成熟だ。日本の労働人材は、流動性どころか、もはや「固形物」と化している。本来ならば、労働市場の流動性を高めるための経済政策や社会政策が必要だが、日本の政治家は法整備に積極的ではなく、状況は放置されたままだ。

 そのような中、企業が始めたのが「追い出し部屋」である。

 「追い出し部屋」という言葉は、1997年に報じられたソニーの人員削減の報道をきっかけに広まった。ソニーは1996年末から「セカンドキャリア支援」事業を立ち上げ、「キャリア開発室」なる部署を設置した。これが俗に「追い出し部屋」と呼ばれるようになった。表向きは、従業員に対する職業能力の向上や再就職支援を目的としているが、実際には人員整理が主な狙いである。

 会社都合による整理解雇が難しいため、従業員自ら自発的に自主退職するよう会社側から強制的に自主を強要しなければならない。何を言ってるかって?自分でも分からん。

 キャリア開発室に異動を命じられると、実質的な業務はほぼなくなり、毎日のように自主退職を促す心理的圧力が続く。さまざまな報道によれば、そこで行われていたのは非常に陰湿な手法だったようだ。

 もちろん、追い出し部屋に相当するような部署や制度を設けた企業は、他にも多数存在する。

 報道されたものをざっと挙げるだけでも、かなりの数になる。

・ソニー(1997年~2014年)
・セガ・エンタープライゼス(1999年)
・リコー(2011年)
・パナソニック(2013年)
・mixi(2013年)
・NEC(2013年)
・大和証券(2015年)
【追記】
・三越伊勢丹(2017年)←NEW!!
・森永乳業(2018年)←NEW!!
・東芝(2019年)←NEW!!

 閑職に追いやる、あるいはその正反対に過酷なノルマを課す。過剰な肉体労働を強いたり、ひたすら無意味な作業を繰り返させたり、さらには自己批判や反省文を一日中書かせる——。こうした手法が追い出し部屋で行われている。どの企業でも、そのやり方は悪質極まりない。大の大人が、まるでいじめのような行為に手を染めている。

 言うまでもなく、このような処遇は違法である。もちろん、企業側もそれを承知している。だからこそ、後から法的責任を問われないよう、巧妙な手法が次々と開発され、実際に用いられていく。

 当初は、社内に「追い出し部屋」を設け、そこへの異動を命じるのが一般的だった。しかし、2010年前後からは、より確実に法的責任を免れる手段として、子会社への出向が多用されるようになった。汚れ仕事は子会社に。これで、本社は晴れて潔白だ🤗

 法的規制が追いつかない間に、こうした「自主退職」へと追い込む手法は、ますます巧妙かつ悪質に進化していった。違法な追い出し行為に関しては、SNS上でも多数告発されており、報道もなされている。その中には、あまりに陰惨で、正気とは思えないような事例もある。ここで一つ一つ紹介する気にもなれないが、興味のある方は自分で調べてみてほしい。本当に、これが名の知れた企業で行われているのかと耳を疑うような話が、いくらでも出てくるはずだ。

整理解雇の見直しを

 問題の根幹にあるのは、日本における解雇規制の厳しさである。整理解雇の運用に関して、現実の経済状況に即した柔軟性ある制度設計がなされていれば、「追い出し部屋」などという馬鹿げた仕組みをわざわざ生み出す必要はなかったはずだ。

 整理解雇そのものが、必ずしもネガティブな側面ばかりを持つわけではない。アメリカの労働市場を見れば明らかなように、人材の流動性が高いことで、業界全体の新陳代謝が活発になり、生産性の向上に寄与する場合も多い。解雇の条件が過度に厳しいということは、すなわち人材が非効率な場所に滞留していることを意味する。現在の厳格な解雇規制は、経済環境の変化に応じて人材を適材適所に再配置することを妨げる一因ともなっている。

 少なくとも、「追い出し部屋」のような、何の生産性もない仕組みをつくる必要はなかった。追い出される側の精神的苦痛は言うまでもなく、追い出す側、すなわちその業務に関わる従業員にとっても心理的な負担は大きい。結局、関わるすべての人が疲弊するだけで、企業の発展に寄与する要素は何ひとつない。唯一得られるのは、人件費を削減することで、決算の見かけ上の数字が一時的に改善されるという点だけだろう。それで満足している経営者や株主もいるのかもしれないが——。

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