名付け – その絶望的な日本の感性。。。#3
奇妙なアパートの名前
「ヴィエラ・ドゥ・ラシューネ」――。
初めてその名前を聞いたとき、どこの高級リゾートだろうかと一瞬思った。
でも、実際は私がかつて暮らしていたアパートの名前だ。
都内にある、月5万5千円の1K。築39年。
壁は薄く、風呂とトイレは一体型。夜は隣のいびきが聞こえ、朝は上階の足音で目覚めるような場所だった。
周辺は、細かく仕切られた狭い区画にワンルームマンションがひしめき合っていて、建物と建物の隙間から空を見るのがやっと。日差しはなかなか届かず、常に薄暗かった。
だいたい、こんな街並み👇

日本の街並み
狭く入り組んだ路地に、無秩序に建ち並ぶアパート。
一つの路地に何台あるんだというほど置かれた自動販売機。
粗大ゴミがそのまま放置され、ゴミ出しルールを無視する住民たち。
蜘蛛の巣のように張り巡らされた電線。
騒音をまき散らして毎日のようにやって来る廃品回収車。
窓から見える景色は、正直、うんざりするほど醜かった。
そんな場所に、「ヴィエラ・ドゥ・ラシューネ」。
まるで南仏の避暑地か、イタリアの小さな村のような響きだ。
この名前をつけた不動産会社か大家は、いったい何を思ってこの名前に決めたのだろう。
頭の中では、白い漆喰の壁と石畳、オリーブの木が揺れる中庭なんかを思い描いていたのかもしれない。
でも、実際の建物は、そんな夢とはかけ離れていた。
こんなの👇でも想像してたのだろうか?🤔

でも、実際は、こんな感じ。。。

思うに、英語の名前ですらもはや珍しくなくなった今、「なんとなくヨーロッパ風な響き」のある名前を付けておけば、少しは“オシャレ”に見える——そんな浅はかな意図が透けて見える。
でも、街並みそのものへの配慮は、まるで感じられない。
見た目はバラバラ、設計もバラバラ、それでもそこにだけ「こじゃれた」名前を付ければ良しとしてしまう。
しかも、そんな名ばかりのアパートに、多くの人が何の違和感もなく暮らしているのだ。
日本の都市風景は、個々の事情や経済的な制約が複雑に絡んでこうなっているのだろう。
それは分かっている。
でもやっぱり、どこか「これで本当にいいのか」と思わずにはいられない。
ニホン全国どこも一緒
自分がかつて住んでいた場所は本当に酷かった。
でも、よくよく考えてみれば、日本全国、大差はない。
全国どこも、似たような景観が広がり、街並みに対する配慮のかけらもない建物が乱立している。
そのくせ、なぜか「それっぽい」小洒落た名前だけは付けたがるのだ。
ただの分譲住宅を「マンション」と呼んで恥ずかしいとも思わない。
日本人とは、いったい何なんだろう?

*注
画像はイメージです。(The image is an image.)
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