chocoZAP(チョコザップ)が新サービスを4月から展開
トレーニングジムを運営するRIZAP(ライザップ)グループが3月28日、記者会見を開き、現在ライザップが運営している24時間無人運営の小規模ジム「chocoZAP(チョコザップ)」に関し、来月4月から新たなサービス展開を行うと発表した。
新規に追加されたサービスは、カラオケ、洗濯・乾燥機、ピラティス、など7つ。
今までのトレーニングジムとしてだけでなく、サービスを多角化して、より広い新たな顧客層の獲得を狙う。
。。。
カ、カラオケ。。。?洗濯??
多角化しすぎではないですかね。。。
実を言うと。。。
今月の前半、チョコザップがいかに市場に影響を与えたか、フィットネス業界の常識をいかに覆したかを書いた記事を投稿したばかりだった。。。
なんというか。。。早々に裏切られた感が強い。。。
躍進するchocoZAP(チョコザップ) パーソナルトレーニングジムを運営するRIZAP(ライザップ)が、2022年7…
トレーニングジムとして事業展開してきたチョコザップだが、これまでもビリヤードやセルフエステ、ワークプレイスなど、トレーニングとは直接の関係のないさまざまなサービスを追加してきた。今回の発表によって、サービスの多角化をより一層進めようという方向性が、はっきりと示されたことになる。
今回の発表で、ライザップグループの瀬戸健社長は、「ジムという枠を超えて、さまざまなお客さまに役に立てるものを取りそろえて社会のインフラになれるよう、さまざまな提案をしていきたい」と目標を述べている。
今後チョコザップは、運動しなくてもよい新発想のジム「スマートライフジム」の実現を目指すのだという。
???
チョコザップは当初、その事業理念として「健康インフラ」を提供すると述べていた。今回の発表では、「健康インフラ」という言葉は消え、「社会インフラ」に取って代わられている。
(前回記事でライザップの健康インフラの理念を引用したが、そのリンク先も消えているようなので、この理念は早々に打ち切られたのかもしれない。)
健康インフラという理念に共感を覚えていたので、非常に残念だ。
事業戦略としての多角化
チョコザップがサービスを多角化しようとすることは、事業戦略としては理解できる。
チョコザップは、24時間無人で設備を極端に絞った小規模のジムを展開することで、低価格を実現してきた。この手軽さが、それまでトレーニングジムに関心を示さなかった層に支持され、急速に会員数を伸ばしてきた。
これまで、全くの初心者(casual user)だけを対象としたトレーニングジムというのは、ほぼなかったと言っていい状態だった。チョコザップは、そこに新たな需要(Blue Ocean)を掘り起こすことに成功し、市場や業界に大きな衝撃を与えた。
だが、そこには一つ問題も抱えていた。チョコザップの店舗は、最小限の設備に無人の運営であり、初期投資が低く抑えことができるが、それは同時に、新規参入が容易だということも意味していた。要は、その事業形態は真似されやすい、ということだ。
チョコザップは、新たな需要を掘り起こすことに成功したが、それが遅かれ早かれ、過当競争(Red Ocean)化することは目に見えていた。チョコザップが先行者優位の立場を十分に生かせなければ、不毛な価格競争か、資金力が物を言う体力勝負の世界か、どちらかに陥っていくだろう。
そこで、チョコザップがとった戦略が、サービス拡充による利用者層のさらなる拡大だった。チョコザップは、先行者優位の立場をサービスの多角化によって乗り切ろうと考えたのだろう。「トレーニング初心者」という新しい需要や「健康インフラ」という理念を捨ててまで。
果たして、チョコザップの新しい事業戦略は成功するのだろうか?
新サービスは成功するか。。。?
チョコザップの新サービスに関しては、いくつかの懸念の声が上がっている。
最も代表的なものは、利用者の住み分けができていないということだ。チョコザップはトレーニングジムとして今運営している店舗にさまざまなサービスを追加しようとしている。異なる利用目的を持った人が、狭い店舗内で混在することになる。
たとえば、トレーニングできた人の隣にカラオケで騒いでいる人がいた場合、その人はトレーニングに集中できるだろうか?(どんな防音壁で囲ったところで音は必ず洩れる。)トレーニングマシンを利用している人の側を、洗濯用の衣類を持ち歩く人がウロウロしていて、事故の危険はないだろうか。
少なくとも異なる目的を持った利用者が混在する状況は、どの利用者にとっても利用しやすい環境にはならないだろう。
今回、新たに発表されたサービスの中で特に懸念が大きいのは、「キッズパーク」と呼ばれる児童を遊ばせるための設備だ。満4歳以上10歳未満の児童を対象とし、子供たちだけで遊ばせておくことができる。子連れの利用者を増やしたいのだろうが、これを無人で管理者不在の店舗で行おうとしているのであれば、信じがたいことだ。
チョコザップのWebsiteを見る限り、親がトレーニング等をしている間、子供を遊ばせておくといった利用を想定しているようだ。
チョコザップHPより「キッズパーク」イメージ写真
果たして、管理者がいない状況で、子供がおとなしくその子供用設備の中だけで遊んでいられるだろうか。いずれ大きな事故を起こしかねないと懸念するのはただの杞憂だろうか。
サービスを多角化すれば、その結果として店舗運営はより難しくなる。
・店舗内での事故やトラブルをいかに防ぐか。
チョコザップは、無人店舗で、どこまでこうした課題に答えられるだろうか。
チョコザップの今後は?
今回の発表を見ても、チョコザップが利用者の顧客満足度を上げるよりも、新規の会員を増やすことに舵を切っていることは明らかだろう。
幅広い利用者層を想定した「健康インフラ」からナンデモアリの雑多な場へ――
理念があやふやで、会員数が増えればよいというだけの闇雲な経営姿勢のようにも見える。
この方針転換は、利用者の支持を得ることができるだろうか?チョコザップの「運動しないジム」が受け入れられていくかどうかは、今後の店舗運営にかかっていると言えそうだ。
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