2016年7月の参議院選挙。選挙結果をざっくりとまとめてみた。
参議院議員の任期は6年。3年ごとに半数の議席を入れ替える。全242議席のうち、半数の121議席が争われた。
改選121議席
自由民主党: 56議席
公明党: 14議席
おおさか維新の会: 7議席
民進党: 32議席
日本共産党: 6議席
争点の一つである憲法改正
憲法改正には議会の3分の2の賛成が必要になる。衆議院ではすでに与党が3分の2を占めているので、今回の参議院選挙で与党が3分の2にとどけば、憲法改正が現実味を帯びてくる。
参議院の3分の2議席は162議席。
改憲に賛成する自民、公明、おおさか3党の獲得議席は、合計で77議席。
非改選議席を加えた結果、自民121議席、公明25議席で与党は146議席。改憲に賛同しているおおさか維新の会、日本のこころを大切にする党を加えると161議席。改憲に前向きな無所属、諸派の4議員を加えて165席となり、3分の2議席に到達した。
しかし、これはきわどい数字で政党所属議員だけだと161議席でぎりぎり1議席足りない。無所属議員を入れてはじめて改憲が可能になる。政局はまだ不安定で、無所属議員の動向や造反議員がでるかどうかで、改憲の可能性は大きく揺らぐことになる。
憲法改正に関して国民の信任を得たと解釈するにはまだ微妙なところで、改憲を実現するためには、与党にはよりいっそうの説明と説得が必要になるだろう。
震災復興に関して
東北地方の選挙結果
岩手県 無所属新人
宮城県 民進党現職
山形県 無所属元
福島県 民進党現職
東北で軒並み与党が敗れている。震災からすでに5年。この間、現政府による復興支援が全く地元の支持を得られていないことが読み取れる。
18歳からの選挙
今回の参院選は、2015年6月に公職選挙法が改正されて、選挙権が18歳に引き下げられてからの初の国政選挙。
18歳から19歳の投票率は45.45%で、全体の投票率54.70%をはるかに下回った。はじめて未成年へ交付された選挙権であるにもかかわらず、投票率は半数にもとどかなかった。
アベノミクス、憲法改正、安保法案と若者の生活や将来を直接左右することになる政策が争点だったにもかかわらず、この国の若者の政治への無関心ぶりがはっきり現れる結果になった。
18歳選挙権、課題残す 投票率 全体より10ポイント低く
総務省は11日、参院選での18~19歳の投票率が45.45%だったと発表した。全体の投票率54.70%より9.25ポイント低い。18歳選挙権を初めて適用した選挙で、与野党は若者層の取り込みと政治への関心を高める取り組みを強化したが、課題を残した。若者層の自民党支持が高かったことには、野党側から反省する声が上がった。
安保法制への評価
安保法制で最も揺れた沖縄は、自民公認の現職で沖縄担当相の島尻安伊子氏が破れる結果となった。
辺野古への新基地建設反対を掲げた無所属新人で元宜野湾市長の伊波洋一氏が10万票以上の差をつけて当選。国と県との対立姿勢が明確になった。
・<参院選>沖縄選挙区 伊波洋一氏が当選 島尻安伊子氏に10万票差 – 沖縄タイムス
選挙結果分析
・改憲勢力は?10代投票先は?参院選データ分析 – 日経新聞
年代別で見ると、自民党支持率は、20代で43.2%と最も高く、ついで18歳から19歳で40.0%になっている。若年層ほど自民党への支持が高くなっている。
ちなみに自民党への支持が最も低かったのは、60代。
・18~19歳、比例で自民に投票40% 若年層ほど高比率 参院選出口調査 – 日経新聞
原発問題に関して
参院選挙と同時に行われた鹿児島県知事選挙は、現職の伊藤祐一郎氏が落選、原発停止を訴えた三反園訓氏が当選。
伊藤祐一郎前県知事は、2014年11月、九州電力の要請にしたがって鹿児島県北西部にある川内原発の再稼動に同意。2013年7月に制定された再稼動のための新基準成立後、全国に先駆けて、はじめての原発再稼動に踏み切った。川内原発は全国で現在、唯一稼動している原発である。
伊藤氏は、2016年4月の熊本大震災発生後においてさえ、原発を停止する意向はないことを明言していた。ちなみに川内原発は、日本最大の活断層、中央構造線の真上にある。
・新基準で初めて再稼働の川内原発に残る疑問 「合格=安全ではない」と規制委員長も明言 – 東洋経済