過去最大の被害額 – Coincheckの仮想通貨流出事件

NEM不正流出事件

 仮想通貨取引所のCoincheckがハッキング被害を受けて、顧客資産の仮想通貨NEMが不正流出した事件。。。

 詳細が明らかになるにつれて、取引所の管理体制の杜撰さが明白になってきた。

・1月26日、深夜0時ごろから不正アクセスがあり、NEMが別口座へと不正送金。Coincheckが保管するNEMのほぼ全額が外部へ流出した。その間、約8時間。管理担当者は寝てたのかな?
・同日午前11時ごろ、同社が不正流出を認識。社員は朝、コーヒーでも飲んでたのかな。12時、NEMの取引停止。
・同日23時、記者会見。

 もう、こっからは、利用者大騒ぎ、マスコミ大騒ぎ、やじうま大騒ぎ。。。

・被害は、5億2300万XEM。流出時の時価総額は、約580億円!過去最大の流出被害額。
・NEMを管理するNEM財団は、不正流出はNEM自体の欠陥によるものではなく、取引所の問題だとして、救済策を拒否。(ハードフォークは行わない)
・金融庁が業務改善命令。

 そして、Coincheckで開設されている全口座の出金完全停止!(事実上の口座凍結)
 仮想通貨市場が急速に値崩れしていく中で、利用者は何もできず。。。
 出金できないので、必要な資金に逼迫する人や確定申告で困窮する人続出。。。

 とりあえず、流出したNEMに関しては、Coincheckが自己資金の中から補償することが約束された。

仮想通貨取引所というリスク

 今回の流出事件の原因は、あまりに杜撰な管理体制にあった。

・社員が社内のパソコンで、メールの添付ファイルを開いたためマルウェアに感染した。
・本来、offlineで管理すべき仮想通貨をonlineのHot Walletですべて管理していた。

 どうやら、めちゃくちゃ初歩的な誤りが原因で、外部攻撃者に狙われたようだ。

 仮想通貨のリスクは、さまざまに存在するが、実は最大のリスクとは、取引所なのかもしれない。

 仮想通貨は新しい技術で、今、新規参入が相次いでいる。しかし、そのため技術的に未熟な企業や社会的責任感に乏しい経営者も大量に参入してきている。しかも、仮想通貨取引所は、単なるサービス業ではない。顧客の資産を管理する金融業であって、本来金融庁の管理下に置かれるべき業種だ。それが、制度がまだ整わない隙をついて、未熟な企業が乱立してしまった。

 今後、法整備も進み、この事件をきっかけに金融庁の管理も強化されるのであろうが、信頼性の乏しい企業が乱立する状態はしばらく続くだろう。

 仮想通貨の価値や将来性を心配するよりも、取引所の心配をしなければならない。仮想通貨それ自体のリスクよりも、取引所の方がよっぽどリスク要因なのは、ほんと、皮肉な話しだ。