ブックオフ、業績悪化で株価急落 – 中古家電事業のつまずきが明らかに
ブックオフコーポレーション(証券コード:3313)の株価が急落し、年初来安値を更新している。
同社は今月、2016年3月期連結決算を発表。
売上高は、765億6400万円(前年比3.0%増)だったが、営業損益は、5億3000万円の赤字(前期は11億2700万円の黒字)となった。
最終損益は、5億2800万円の赤字(前期は1億5100万円の黒字)。
営業赤字、最終赤字ともに2004年の上場以来初めて。
2015年3月期11億2700万円の営業利益達成!!
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【当初予想】2016年3月期は、業態転換に伴う先行投資で、5億円の営業利益かも(><)
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【途中修正】やっぱ1億5000万円の赤字だと思うわ💦(2016年4月)
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【最終決算発表!!】5億3000万の赤字でした!スンマソン。←今ここ
赤字の主因は「中古家電」事業への挑戦
ブックオフは、これまで「中古本」や「中古CD」販売で成功を収めてきた。しかし、今回の赤字の最大の要因は、業態転換の一環として進めていた「中古家電」事業での失敗にあると見られている。
一見すると、中古家電も中古本と同様のビジネスモデルで運営可能に思えるが、実際にはそう簡単ではない。ブックオフは、「中古=REUSE」という括りで、本・CD・古着などと「家電」を一つの事業として扱っているが、中古家電は単なる事業拡大ではなく、全く新しい領域への参入、すなわち「新規事業立ち上げ」に近い。
中古本と中古家電では、ビジネスモデルが根本的に異なる
ブックオフの強みは、商品の内容を評価せず、「きれいか・汚いか」「新しいか・古いか」だけで査定し、アルバイトでも対応可能なマニュアルを構築して成功してきた点にある。従来の値踏みをする古本屋のあり方を否定して、いわば、専門知識を必要とせずに事業をスケールさせたモデルだ。
だが、中古家電となると、商品の動作確認や修理可能性の判断、さらには安全性のチェックなど、専門知識が不可欠となる。つまり、アルバイト任せにはできない。商品ごとに目利きが必要で、人材育成も大きな課題となる。
加えて、既存の小中規模店舗では家電の動作確認が困難なため、買取カウンターやテスト設備の整備など、店舗設計そのものの見直しも必要になる。
商品価値の判断、要するに目利きが重要になるということは、今までと180度違うことをやろうとしてる、ということだ。
業態転換への挑戦
つまり、ブックオフが目指しているのは「なんでもREUSE」の総合リユース業態への転換だが、それには大規模な先行投資と長期的な人材育成が不可欠だ。現在進行中の赤字は、その過程における通過点と考えることもできる。
経営陣がこの方針を本気で遂行するつもりであるなら、今回の赤字は一時的な損失にすぎない。今後、どれだけ先行投資と人材育成に注力できるかが、この挑戦を成功に導く鍵となるだろう。
その成果が現れるまでには、さらに数年を要すると見ておくべきだろう。
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