関税とは?
関税とは、外国から輸入される商品にかけられる税金です。
これは、国境を越えて物が入ってくるときにかける税金で、「輸入税」とも呼ばれます。
よく誤解されることですが、関税は、海外の商品を購入したことに対して課税されるものではなく、海外から商品を国内に持ち込むことに対して課税されます。つまり、商品を国内に持ち込むときに、国がその商品に対してお金を取る仕組みです。
自社製品でも関税がかかるの?
関税に関する疑問で、よくあるものが、
「海外で製造した自社製品を自国内に輸送した場合は、関税はかかるのか?」
というものです。
自社製品であっても、海外で製造し、自国内に輸送する場合には、通常、関税がかかります。関税は「誰の製品か」ではなく、どこから輸入されたかが基準です。
一般的には、自社の工場で作ったものであっても、それが海外にある限り、「外国からの輸入品」とみなされます。また、製品の原材料や部品の一部などが、自国産のものであっても、最終的な製造が外国で行われていれば、「外国産」として扱われることになります。
原産地について細かくは、原産地規則に則って決められます。
なぜ関税をかけるのか?(目的)
関税には主に以下の2つの目的 があります。
- 国内産業を守る(保護の目的):関税により海外製品の価格を高くし、国内製品の価格競争力を高める。
- 国の収入にする(財源の目的):関税は税金の一種であり、国の税収になる。
関税の種類
関税は、その課税方法によって、以下の種類に分けられます。
- 従価税:商品の価格に対して何%という形でかかる関税(例:10万円のバッグに10%=1万円の関税)
- 従量税:商品の重さや数量に応じてかかる関税(例:1kgあたり100円)
- 混合税:従価税と従量税の二つを組み合わせたもの
関税の計算の仕組み
関税の計算は、従価税品の場合、取引価格に運賃、保険料その他加算要素を加算した合計額(CIF価格)が課税価格になります。たとえば、
商品の価格:7万円
保険料:1万円
運賃:2万円
課税価格(CIF価格):10万円
※CIFとは「商品代金+保険料+運賃」を合わせた価格です。
関税率:10%
この場合、関税は
10万円 × 10% = 1万円 になります。
関税以外にも、消費税やその他の輸入税(たとえば酒税やたばこ税)がかかることもあります。
関税の影響
- 輸入品の価格が高くなる:関税によって輸入品の価格が上がり、消費者の負担が増える。
- 国産品を保護できる:国際競争から守られることで、国内産業の安定に繋がる。
- 貿易摩擦が起きる可能性がある:高すぎる関税は、自由貿易を阻害し、輸出国との関係が悪くなることもある。(例:米中関税戦争)
関税の例外と軽減措置
関税はすべての輸入品にかかるわけではありません。以下のような例外があります。
(1) FTA・EPA(自由貿易協定)
もし自国が製造国と自由貿易協定(FTAなど)を結んでいる場合、関税が免除または削減されることがあります。
例:日本とベトナムのEPAにより、特定の商品は関税ゼロで輸入可能。
(2) 加工貿易制度(保税制度)
部品などを海外で組み立ててから再輸入する場合、一定条件を満たせば関税を軽減または免除できる制度もあります。
(3) 個人輸入で一定額以下
海外の通販サイトなどで個人が買う商品は、価格が安ければ関税がかからないこともあります。
関税の原産地規則
原産地規則とは、貨物の国籍(どこが原産地かということ)を決める為の規則です。関税は、輸入元の国によって税率や課税方法が異なるため、原産地規則を用いて原産地を決定する必要があります。主に、原産品とみなされるための基準(原産地基準)と、その原産地を証明するための手続き(原産地手続)が定められています。
- EPAなどの特恵税率:経済連携協定(EPA)などで、特定の国の原産品に対して特恵税率が適用される場合があります。このためには、原産地規則を満たしている必要があります。
- 迂回輸入の防止:原産地規則は、他の国の産品を自国の産品としてすり替える迂回輸入を防ぐ役割も果たします。
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