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国家非常事態宣言で動き出すアメリカ ― 新型コロナとの戦いが本格化

政治
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アメリカで国家非常事態宣言

 2020年3月13日、アメリカのドナルド・トランプ大統領が国家非常事態宣言(National Emergency Declaration)を発表した。

 これは、アメリカにおける新型コロナウイルス対応の重要な転換点となる。この宣言の内容を以下にまとめてみる。

1. 連邦政府の資金と権限が解放された

  • 連邦緊急事態管理庁(FEMA)の災害救援資金(約500億ドル)が州・自治体に提供可能に。
  • 各州知事が連邦政府の支援を公式に要請できる法的根拠が整った。

2. 医療システムへの支援拡大

  • 病院の対応力強化、医療機器の迅速調達などが可能に。
  • 医療従事者の規制緩和(例:他州からの応援、遠隔医療 Telemedicine の促進)。
  • 米保健福祉省(HHS)が「公衆衛生の緊急事態」に基づき柔軟な対応を実行。

3. 検査体制の拡大と簡素化

  • FDA(食品医薬品局)の権限を用いて、新しい検査方法やキットの緊急承認(EUA)を迅速化。
  • 民間企業(研究機関、ドラッグストア、病院)による検査提供が可能に。

4. 公衆衛生と行動制限の法的支え

  • 州政府や自治体が行う学校閉鎖、集会禁止、外出制限などの措置に連邦の支援がついた。
  • ロックダウンや州境制限の土台となる。

5. 心理的影響

  • これまで危機を軽視していたとされるトランプ政権が態度を大きく転換。
  • 国民・企業に対して警鐘を鳴らす役割を果たす。

6. 政治的役割

  • この「国家非常事態」は自然災害時と同様の権限を発動するもので、戦時下の非常事態(国家安全保障上の緊急事態)とは別
  • 憲法上、州の自治権が強いため、連邦の宣言は「支援の枠組み」を提供するものであり、実際の行動制限は各州が判断して行うことになる。

各国に広がる都市封鎖

1月23日 – 中国(武漢市)

  • 最初の都市封鎖。
  • 湖北省全域にも拡大。

3月8日 – イタリア(ロンバルディア州など北部)

  • 感染が爆発的に拡大した欧州初の大規模都市封鎖。
  • 3月9日:全国に拡大(全国封鎖)

3月14日 – スペイン

  • 非常事態宣言とともに全国封鎖。
  • 外出は食料・医薬品の購入などに限定。

3月17日 – フランス

  • 厳格な都市封鎖。移動には証明書が必要。

都市封鎖さらに拡大の恐れ

 今回の国家非常事態宣言により、連邦政府は各州に対する医療・財政支援を迅速に行えるようになり、各州政府も独自の判断で強い行動制限措置を講じる法的根拠を得ることとなった。今後は、感染状況が深刻な州を中心に、都市封鎖(ロックダウン)に踏み切る動きが加速すると予想される。

 こうした展開は、アメリカ国内の問題にとどまらず、日本にとっても決して無関係ではない。グローバルな人の往来や経済の結びつきの中で、他国の防疫措置が日本社会にも間接的・直接的な影響を及ぼすのは避けられない。加えて、日本国内でも感染が拡大し続けるならば、欧米のような強い行動制限措置を導入する議論が現実味を帯びる可能性もある。アメリカの動向を注視することは、今後の日本の感染対策を考える上でも極めて重要である。

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