発達障害と知的障害は、いずれも「生きづらさ」を抱えやすい特性をもつ障害ですが、それぞれに対する医療や支援の内容には違いがあります。
【1】基本的な違いの再確認
項目 | 発達障害 | 知的障害 |
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主な特徴 | 社会性・コミュニケーション・注意力などの発達の偏り | 知的能力(IQ)と適応行動の全般的な遅れ |
発症時期 | 幼少期から明らかになる | 幼少期から明らかになる |
原因 | 脳機能の特性(先天的・神経発達的) | 染色体異常、脳損傷、遺伝など様々な要因 |
【2】医療面の支援の違い
観点 | 発達障害 | 知的障害 |
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診断 | 小児科、児童精神科、心療内科などでの発達検査・行動観察を通じて診断(ASD、ADHD、LDなど) | 小児科、神経科、心理士などによる知能検査(IQ<70)、適応行動検査などで診断 |
薬物療法 | 必要に応じて行う(例:ADHDに対しては中枢刺激薬や非刺激薬) | 基本的には薬物療法の対象ではないが、併存する精神疾患(うつ、けいれん等)に対して投薬することがある |
主治医の役割 | 特性に応じた環境調整の助言、薬物療法の適切な管理、二次障害の予防や治療など | 生活全般の支援や、健康管理、必要に応じてリハビリ・療育の紹介など |
【3】福祉・教育・生活支援の違い
観点 | 発達障害 | 知的障害 |
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教育支援 | 通常学級に在籍しながら通級指導や特別支援教室を利用することが多い | 特別支援学級や特別支援学校への進学が多い |
福祉サービス | 自立支援医療(精神通院)、発達支援センター、就労支援(就労移行支援、定着支援など) | 障害福祉サービス(生活介護、就労継続支援B型、グループホームなど) |
支援の考え方 | 「得意・不得意の凸凹」に合わせた環境調整や自己理解支援が中心 | 日常生活スキル・社会生活スキルの獲得と生活全体の支援が中心 |
家族支援 | 保護者へのペアレントトレーニングや相談支援が重視される | 日常生活の介助や金銭管理の支援なども含む長期的な支援が必要 |
【4】共通点と協働の重要性
- 共通点
両者ともに、周囲の理解と支援が不可欠であり、医療・教育・福祉が連携した支援体制が求められます。
- 協働の重要性
発達障害と知的障害を併せ持つ場合もあるため(重複障害)、それぞれの特性に応じた柔軟な支援が重要です。
【まとめ】
ポイント | 発達障害 | 知的障害 |
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支援の中心 | 環境調整・社会適応の支援 | 生活支援・能力育成 |
医療との関係 | 行動・感情面の調整が中心 | 身体的・知的な全体支援が中心 |
支援期間 | 子ども期から成人期まで幅広い支援が必要 | 一生涯にわたる継続的支援が必要なことが多い |
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