再び注目される仮想通貨
ビットコインの価格が急騰して、再び仮想通貨が大きな注目を集めている。
5月13日に20万円台に達した後に急騰、5月25日には34万円を超えた。わずか2週間足らずで60%近い値上がりだ。しかし、その後急落、2日後の27日には22万まで暴落した。その後はまたじわじわと上昇、6月12日、33万まで上がってきている。5月25日の最高値34万に届きそうなところまで来ている。
この1カ月間はめまぐるしい値動きが続いている。完全に投機の対象となってしまった感がある。これだけ価格が不安定だと実際の決済にはほとんど使えないだろう。
実際の決済としては使いものにならない貨幣―――これが今後一般に浸透していく可能性は本当にあるのだろうか。実際に広く使われるようになるためには、価格の安定が必須だ。しかし、何の裏付けも持たない仮想通貨が、その価値をどうやって保証するんだろうか?
発行数の上限という仕組み
ビットコインは、一般にインフレを起こさないと言われている。それは通貨発行量に上限が設けられているからだ。発行量は4年ごとに半減していき、2100万に達した時点で終了となる。2025年頃にはそのほぼすべてが発行されていると予想されている。
法定通貨であれば、政府(中央銀行)が通貨発行量を増やすことによって、貨幣の持つ購買力を希薄化することができる。政府が政策的意図で、通貨発行量を管理しているからだ。つまり、貨幣の価値を決めているのは、政府だと言える。(実際に、政府が行っていることは、価格のある程度の誘導だが。)
では、ビットコインの場合はどうか。通貨の発行量を管理している存在はどこにもない。さらに、総量に上限があることがすべての市場参加者に予め分かっている。そのため需要に応じた価格変動があるだけで、インフレという現象が起きることはない、そう考えられている。つまり、この発行量に上限があるということ自体が、価値を保証することになっている。
なーるほど。
。。。
ん!?
やっぱり、おかしくないか???
ビットコインが浸透して、仮想通貨を扱う市場が拡大し、利用者が増えれば、それに合わせて通貨発行量を増やさなくてはならない。需要に応じて価格が際限なく上昇するということはあり得ない。発行量が増えなければ、流通そのものが滞るからだ。
では、その場合どうなるか。答えは単純だ。取引単位を分割していけばいい。
(BTCは、ビットコインの単位)
0.1 BTC
0.01 BTC
0.001 BTC
0.000….1 BTC
これで流通量が需要に追い付かなくなるという問題は解決できる。
んんっ!?
でも、これって、通貨発行量を増やしてるのとおんなじじゃないのか!
こうして取り扱い単位を細分化していくことは、通貨発行量を増やしていくとこと全く同じ効果を持つ。
そして、こうした取引単位の細分化に対応するために、BTCよりさらに下の単位が予め設けられている。
それがSatoshiという単位だ。(Satoshiは、開発者とされる人物の名前からとられた単位)
この単位は。。。
1 Satoshi = 0.00000001 BTC
なんと1憶分の一ビットコインだ!0が一体いくつつくんだ!
一応、現在のところ、1 Satoshiが最小単位として決められている。
なんてことはない、初めから、通貨発行量を増やせる(インフレを起こせる)ように「伸びしろ」が存在しているのだ。
需要に応じて決まる貨幣価値
1億分の一という、なんだか、ふざけた単位だが、よーするに、そこまでは需要に応えられるように初めから設計されているのだ。
ということは。。。
当然、通貨発行量は実質的に増えていくし、それに伴って、価値の希薄化も起こるということだ。
もちろん、現在そのような微小な単位で取引が行われているわけではない。だいたいどこの取引所も、最小の取り扱い単位は、0.001BTCから0.0001BTCといった範囲だ。
今後、ビットコインへの需要が増えて、さらに最小単位での購入希望が増えれば、0.0001BTC以下の単位を扱う取引所も現れてくるだろう。
さらに遠い将来、ビットコインが一般化して、仮に1 Satoshiでも需要に応えることができなくなった場合はどうなるだろうか?
おそらくさらにその下の単位が作られる。
0.00000001 Satoshi = 1 Pikachu
こういった単位が出てこないとも限らない。
絶対に安定する貨幣なんて存在しない。全ての価値は、市場の中で需要と供給の関係で決まる。これに例外はない。仮想通貨もどれだけ理論的に優れた仕組みを持っていようと、市場原理で価格が決まるという点は同じだ。
ビットコインが一般に流通しだして、通貨発行量が増加し、その価値が希薄化された時、それに似あうだけの価格を維持しているかどうか、それは天のみぞ知る、ということだ。