名曲Piano Manに隠された真実
Billy Joelの名曲Piano Man―――
今でも多くの人に愛される名曲ですが、この曲の歌詞には、秘められた意外な真実があります。
歌詞が非常に魅力的で、物語風(story telling)になっていることから、ドラマをみているような気にさせる曲です。
歌の中に登場する人物一人ひとりに物語があり、聞いている人々の想像を掻き立てます。
歌詞は、韻を踏むためや、詩としての美しさを保つためだったり、字数の制限のために、内容が曖昧で多様な解釈を生む余地があります。
そのため歌詞に関して、さまざまな解釈が生まれてきました。
歌詞に関して、さまざまな解釈や議論が今まで行われてきたのも、それだけ、歌詞に魅力があるということの証拠でしょう。聞き手にさまざまな解釈の余地を与えるのも、優れた詩の特質の一つです。
歌詞の解釈
いくつか歌詞の解釈で話題になったところを紹介しましょう。
この曲の中でもっとも解釈の分かれた部分の一つです。
不動産の小説を書いている作家、不動産業をやりながら小説も書いている作家などなど、いろいろな解釈が今までに出てきたようですが、この点に関しては、Billy自身が小説家を夢見ている不動産屋のことだと答えています。
「政治学を実践するウェイトレス」という不思議な文章ですが、これは、「客をあしらっている」と解釈するのが一般的なようです。
しかし、このpoliticsには、単に「あしらう」ということ以上の意味があると思います。
70年代初頭のbarでウェイトレスとして働く若い女性です。当然、酔った多くの男たちが言い寄ってきます。それを単にあしらうだけでは、商売になりません。
気があるかのように思わせつつ距離をとる、そういう客との駆け引きが重要なのです。そうした客との駆け引きをpoliticsと表現したのでしょう。非常に上手いたとえだと思います。
これは、チップを入れるジャーのことですね。チップをbreadと表現しているあたりが、チップで生計を立てている貧乏な歌い手の生活を物語っています。
Billyの歌を聞いていた客が、Billyに語りかけます。「こんなところで何をやってるんだい?」
もちろんこれは、お前はこんな小さなbarで身をうずめているような男じゃないだろっていう励ましの言葉でしょう。
そして、この後、Billyは、本当にこんな小さなbarを飛び出して、アメリカを代表するPop Singerになっていきました。
実話から生まれた曲
この曲は、Billyの実体験が元になって書かれています。ロサンゼルスの小さなピアノバーで歌手として働いていた時のことを歌にしています。歌詞の中に登場する人物は、すべてモデルがいることをBillyは、後に語っています。
そして、この歌に出てくるウェイトレスは、Billyの最初の奥さんになる人物でした。