由緒正しきシューカツ
日本には「シューカツ」と呼ばれる、古来より伝わる伝統行事がある。数え年で二十二歳となる若者たちは、まず沐浴して身を清め、男子は髭を丁寧に剃り、女子は髪を整える。そして男女ともに、全身黒づくめの伝統装束を身にまとい、「リクナビフェス」と呼ばれる地域一大の祭事に参加するのだ。
この祭事は神聖なものとされ、「シンソツ」と呼ばれる者以外の関与は厳しく禁じられている。特に「キソツ」や「チュウト」は穢れとされ、忌み嫌われ、近づくことさえ許されない。
一説によれば、この祭事は「年神(としがみ)」を祀るために始まったという。この年神は「ケーキ」とも呼ばれ、年によって福をもたらすこともあれば、「フキョー」という災厄をもたらすこともある、二面性を持つ神として古くから人々に畏れられてきた。フキョーの年には「シューショクローニン」が多く生まれるため、毎年、年神への祈祷は真剣に執り行われる。
祭事の期間中は、災厄が自らに降りかからないよう、「疫鬼」とされるキソツやチュウトを追い払ったのち、皆でこの年神に「ナイテー」を祈願するのが、古くからの慣わしである。そしてこの祭事は、今なお立派に若い世代へと継承され、伝統行事としての威容を今日に伝えている。(了)
働き方の多様性とは
就活とは、まるで何かの祭事のようだ。
すべてがあらかじめ決められた「儀式」に則って行われる。すべてが横並びで、画一的。そしてこの横並びから外れた者に対しては、極めて排他的だ。多様な働き方を許さない日本の労働環境が、その入り口である「就職活動」の段階から、すでに色濃く現れている。
学生の就職活動は、同学年の者たちが同時期に一斉に開始する。皆が横並びで、似たり寄ったりの就活マニュアルに従い、一様な行動をとる。
採用する企業側も、かつての「就職協定」(現在は名前を変えた「倫理憲章」)に従い、すべて横並びで動く。
そして、やはり同時期に一斉に採用活動を始め、「新卒」という括りの、同学年の者たちだけを一括で採用する。
この儀式が続く限り、日本において働き方の多様性が生まれることは、どうやら期待できそうにない。
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