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第二のポケモンショック ― 歩きスマホと拡張現実の危うい未来

路上でスマホ 事件・不祥事
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ポケモンGOでついに死亡事故──問われる「歩きスマホ」社会の限界

「ポケモンGO」初の死亡事故、39歳男逮捕=運転中プレー、女性はねる-徳島県警

 23日午後7時25分ごろ、徳島市方上町の県道で女性2人が車にはねられる事故があり、病院に搬送されたが1人が死亡、1人が重傷を負った。徳島県警徳島東署は自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)容疑で、運転していた農業五王敬治容疑者(39)=同市南二軒屋町=を現行犯逮捕した。県警によると五王容疑者は、スマートフォン用ゲームアプリ「ポケモンGO(ゴー)」をしながら運転し、「前を見ていなかった」と供述している。

時事通信

 ついに、ポケモンGOに関連する死亡事故が発生した。
 ちょうど前日には警視庁が、ポケモンGOに関する事件・事故の統計を公表したばかりだった。

 車や自転車を運転中にポケモンGOで遊んでいたことが原因とみられる違反
 ポケモンGOリリース直後の2016年7月22日から8月21日までの1カ月間(警視庁発表)
・交通事故79件
・交通違反摘発1140件

 社会現象となったこのゲームは、単なる一過性のブームでは済まされない重大な問題を浮き彫りにしている。

それでもポケモンGOが「特殊」である理由

 ポケモンGOに対しては、「ゲームそのものが悪いのではなく、問題は歩きスマホ全体にある」という意見も多い。実際、スマートフォンを操作しながらの歩行や運転は、アプリの種類を問わず注意力を奪い、事故のリスクを高める。

 この意味では、ポケモンGOに限らず、すべてのスマホ利用者に共通する問題だという見方も理解できる。

「歩きスマホ」はポケモンGOだけの問題ではないが…

 しかし、それでもポケモンGOには他のアプリにはない「特殊性」があると考えるべきだろう。

 まず、圧倒的な利用者数だ。配信からわずか1か月で、全世界で1億3,000万件以上のダウンロードを記録し、各地で社会現象を巻き起こした。しかもこのゲームは、「歩きながら遊ぶ」ことを前提とした設計になっている。

 結果として、これまでスマホを操作しながら歩いたことがなかった人々までが、一斉に「歩きスマホ」を始める状況となった。これほどの規模と熱狂の中で、個人の節度やマナーだけに頼るのには、やはり限界がある。

 今回、死亡事故を起こしたのは39歳の男性であり、年齢的には十分に分別のある大人だ。それでも事故は起きた。このことからも、ポケモンGOが歩きスマホを助長しているという現実は否定できない。

「第二のポケモンショック」となるのか

 ポケモンが社会問題を引き起こすのは、今回が初めてではない。1997年には、テレビアニメ『ポケットモンスター』の放送中に、激しい光の演出により視聴していた子どもたちが発作を起こす「ポケモンショック」が発生した。

 この事件を機に、アニメ業界は光の演出を自主規制し、現在では放送前に注意喚起を行うのが常となっている。

 同様に、今回の死亡事故を契機に、ポケモンGOにも大きな見直しが迫られるかもしれない。製作・運営側に対して、安全対策や事故防止機能の強化を求める声は、今後さらに強まっていくだろう。

今後も事故は続くのか──問われる次世代への対応

 一部では、「ポケモンGOは一過性のブームに過ぎない」という見方もある。実際に、アクティブユーザー数が減少しているという報道もある。

 だが、ポケモンGOが去ったあとも、同様の仕組みを持った「拡張現実(AR)」型ゲームは確実に次々と登場してくるだろう。現実とデジタルの境界を曖昧にするAR技術は、今後ますます日常に浸透していく。

 このような新しいテクノロジーとどう向き合うのか。賢明な利用者が増えていくのか、それとも事件・事故が繰り返され、厳しい規制が導入されるのか。未来の姿は、スマホを手にする私たち一人ひとりの判断にかかっている。

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