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ゴスペル音楽の起源と精神──黒人霊歌から受け継がれた祈りの歌

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ゴスペル(Gospel)とは

 Gospel music usually has dominant vocals (often with strong use of harmony) with Christian lyrics. Gospel music can be traced to the early 17th century, with roots in the black oral tradition. Hymns and sacred songs were repeated in a call and response fashion. Most of the churches relied on hand clapping and foot stomping as rhythmic accompaniment. Most of the singing was done a cappella.

Gospel music – Wikipedia

【抄訳】
 ゴスペルとは、声楽を中心とした音楽。多くの場合、合唱を伴う。キリスト教的な歌詞が歌われる。この音楽は、17世紀初頭にまで遡ることができ、黒人間で口頭で伝わった民謡にその起源がある。
 讃美歌や聖歌では、呼応式の合唱が繰り返される。多くの教会では、手拍子や足踏みが伴われ、アカペラ形式で歌われる。

ゴスペル(Gospel)の意味

 ゴスペル(Gospel)とは、「福音」という意味。キリスト教における「神の教えの到来」を指している。しかし、現在では、Black Musicの多様な発展を受けて、ゴスペルの形式も歌詞の内容も多彩化していて、宗教音楽や声楽にとらわれない幅広い分野でGospel Musicという言葉が使われている。
 しかし、救いをテーマとすること、声楽を強調すること、という基本は、GospelのIdentityとして今でも継承されている。

 下の動画は、現代を代表するGospel Singerの一人、Tasha CobbsによるFor Your Glory。

ゴスペルの前身

 ゴスペル音楽は、「黒人霊歌」と呼ばれる宗教的民謡から発展した。

 黒人霊歌(Spirituals)は、18世紀後半から19世紀にかけてアメリカ南部の黒人奴隷たちの間で生まれた音楽で、過酷な労働と抑圧の中、自由と救いを求める魂の叫びとして歌われてきた。
 キリスト教の教えと、アフリカにルーツを持つ音楽的伝統が融合したこの歌は、やがてゴスペル音楽の母体となり、20世紀以降、特に1930年代に、信仰と希望を力強く歌い上げる新たなスタイルへと発展していった。

ゴスペルの代表的な楽曲とアーティスト

 黒人霊歌が作曲者不明の民謡的音楽であったのに対し、ゴスペルは録音技術と音楽産業の発展とともに、作曲者やパフォーマーの個性が強調されるようになる。以下は今では古典と言われるゴスペルの代表曲と著名なアーティスト。

代表的なゴスペル・ソング

  • “Oh Happy Day”(エドウィン・ホーキンス・シンガーズ)
     1969年に世界的ヒットとなった曲。ゴスペルをポップスの領域にまで広げた画期的作品。
  • “Precious Lord, Take My Hand”(トーマス・A・ドーシー)
     モダン・ゴスペルの父とも呼ばれるドーシーの代表曲。マーティン・ルーサー・キング牧師が最も愛した歌としても知られる。
  • “Total Praise”(リチャード・スモールウッド)
     現代ゴスペルの定番。ハーモニーと静かな感動に満ちた賛美歌。
  • “Amazing Grace”
     もともとは白人牧師による作詞だが、ゴスペル的解釈を経て、黒人音楽の中でも広く歌われるようになった。アレサ・フランクリンのバージョンが特に有名。

ゴスペルの著名アーティスト

  • マヘリア・ジャクソン(Mahalia Jackson)
     「ゴスペルの女王」。その力強い声は、宗教音楽だけでなく公民権運動でも重要な役割を果たした。
  • アレサ・フランクリン(Aretha Franklin)
     ソウルの女王であり、幼少期から教会でゴスペルを歌い育った。ゴスペル・アルバム『Amazing Grace』(1972年)は歴史的名盤。
  • カーク・フランクリン(Kirk Franklin)
     現代ゴスペルをポップやヒップホップと融合させた革新者。若い世代の信仰と音楽の架け橋的存在。
  • ヨランダ・アダムス(Yolanda Adams)
     現代女性ゴスペル・シンガーの代表格。魂を揺さぶる歌声で高い評価を得ている。

 黒人霊歌は、名もなき人々の声として生まれ、ゴスペルはそれを礎に個人の信仰と希望を歌い上げた。そこには、音楽という枠を超えた、歴史と魂の軌跡が刻まれている。

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