メルカリで現金出品
スマートフォン用のフリーマーケットアプリ「メルカリ」で、現金が出品されて話題になっている。
現金4万円が47300円、5万円が59500円といった価格。
なんで、こんな出品が行われるのかというと、要は、クレジットの購入枠の現金化だ。購入者は、決済にクレジットカードを使うので、今すぐに現金が必要という人は、これで現金を手にすることができる。
よく考えたもんだなー。クレジット購入枠の現金化といえば、飲み会の幹事をやるっていうのが、鉄板だったけれども、この場合だと、上乗せの価格で購入しているのだから、金利がついているのと同じことだ。ようするに、消費者金融と同じだ。
5万円が59500円ということは、2か月後の返済(クレジットの引き落とし)として、年利でいうと。。。誰か計算して(笑)。
どういった人が利用するかといえば、資金繰りに切羽詰まった経営者か、これ以上の借金ができない多重債務者のどちらかだろう。メルカリでこんなことやる人は、おそらく圧倒的に後者じゃないだろうか。
こうした手法が違法行為に当たらないのか、弁護士ドットコムの記事で解説が出ていた。
【参考記事】
フリマアプリ「メルカリ」で、「諭吉10枚セット」などの現金が売られていることが話題となっている。現金30万円は40万円で…
この記事の内容をざっくりいうと、この手法を直接、規制する法律はないが、貸金業法の無許可営業と出資法の違法金利に該当するようだ。
この問題が発覚してすぐにメルカリは、利用規約を変更し、現金の出品を禁止した。非常にすばやい対応だった。
さっそく新手法
だが、一度こういった手法が発見されてしまうと、雨後の筍のように類似の手法が次々と現れてくる。
今度は、メルカリで高額チャージ済のSuicaが大量出品されているのが見つかっている。
メルカリの現金出品がTwitterで報告され、話題になったのが4月22日。
メルカリが、現行紙幣の出品を禁止したのが、4月24日。
その同日、4月24日、メルカリで、入金済みSuicaが出品!
なんだ、このすばやい対応!メルカリの運営に負けないぐらいの素早い対応だ。
って、感心している場合ではない。
フランスにガレット・デ・ロワというコインを隠したケーキがあるが、Suicaがダメになったら、札束練りこんだケーキを出品すればいいんじゃないか?あるいは、時代劇みたいに小判を隠した饅頭とか。
もうこうした手法はいくらでも考えられるので、違法な取引を行っている出品者をひとりひとり見つけて排除していくほかない。これは、虱潰しのような作業になる。
新たに広がる闇金融
こうした違法(脱法)行為を次から次へと生み出していく出品者にも驚くが、けっこう売れていて、需要があることにも驚かされる。
これって一種の闇金融だ。
多重債務者の人数は、2014年の統計で16万人いる。そんなにいるのか、と驚かされるが、2007年の最高時には、177万人だったというから、マシになった方なのだ。(177万人ってなんだよ、この数字は。。。)
【参考記事】
借金を重ねる多重債務者が減っている。金融庁のまとめでは、借り入れが5件以上ある多重債務者は9月末時点で16万人と3月末か…
2010年に改正貸金業法で、消費者金融会社の貸出総額に制限がかかり、以降、多重債務者の数は減少していた。
しかし、ネットで個人間の取引が増加していけば、規制を掻い潜る形で、また新たな闇金融が広がっていく可能性がある。メルカリは素早い対応を見せたが、類似の手法はこれからも次から次へと出てくるだろう。
これは、メルカリだけの問題ではない。利用者間の取引が行えるサイトであれば、どこでも起きうる問題だ。
そうしたサイトの運営者は、取引を当事者間の問題にしないで、今後は、利用者の管理をますます厳しくしていく必要があるだろう。