なぜ?メルカリで現金出品
スマートフォン用のフリーマーケットアプリ「メルカリ」で、現金が出品されて話題になっている。
現金4万円が47300円、5万円が59500円といった価格。
出品の目的と利用者の背景
このような出品が行われる主な理由は、クレジットカードの購入枠を現金化することにある。購入者はクレジットカードで決済することで現金を即座に手に入れることができ、出品者側は上乗せした価格で販売することで利益を得る。
これは実質的に、購入者が上乗せされた金額を金利として支払うことになり、消費者金融からの借り入れと同じことだ。
例えば、5万円の現金に9,500円が上乗せされた場合、クレジットカードの引き落としまでの期間を考慮すると、かなりの高金利になる。
5万円の現金に9,500円の利子がついた場合の利子の割合
9,500円(利子)÷50,000円(元金)=0.19
これをパーセンテージにすると、
0.19×100=19%
となる。
ただし、これはあくまで元金に対する利子の割合であり、年利を計算するには、この取引が行われた期間(クレジットカードの引き落としまでの期間)を考慮する必要がある。例えば、この取引が1ヶ月後、2ヶ月後の引き落としを想定しているとすれば、年利はさらに高くなる。
もし、これが1ヶ月間の利子だと仮定すると、年利は約 19%×12ヶ月=228% という非常に高い金利になる。2ヶ月間の利子だと仮定すれば、年利は約 19%÷2ヶ月×12ヶ月=114% となる。
いずれにしても、一般的な消費者金融の上限金利(貸金業法で定められた年利15~20%)をはるかに超える、非常に高い違法金利である可能性が高い。
このような取引を利用する層としては、資金繰りに窮している経営者や、これ以上の借り入れが困難な多重債務者が考えられる。特にメルカリのような手軽なプラットフォームで現金化を図るケースは、後者の多重債務者が圧倒的に多いと推測される。
法規制とメルカリの対応
この現金出品の手法を直接的に規制する法律はないが、貸金業法における無許可営業や出資法における違法な金利に該当する可能性がある。
この問題が発覚すると、メルカリは迅速に対応した。利用規約を速やかに変更し、現金の出品を禁止する措置を取った。
さっそく新手法
だが、一度こういった手法が発見されてしまうと、雨後の筍のように類似の手法が次々と現れてくる。
今度は、メルカリで高額チャージ済のSuicaが大量出品されているのが見つかっている。
メルカリの現金出品がTwitterで報告され、話題になったのが4月22日。
メルカリが、現行紙幣の出品を禁止したのが、4月24日。
その同日、4月24日、メルカリで、入金済みSuicaが出品!
なんだ、このすばやい対応!メルカリの運営に負けないぐらいの素早い対応だ。
って、感心している場合ではない。
フランスにガレット・デ・ロワというコインを隠したケーキがあるが、Suicaがダメになれば、札束を練り込んだケーキや、時代劇に出てくるような小判を隠した饅頭が出品されるかもしれない。もはや、こうした手法は無限に考えられるため、違法な取引を行っている出品者を一人ひとり見つけ出して排除していくしかない。これは、まさに「虱潰し」のような、終わりなき作業となるだろう。
広がる闇金融の新たな形
こうした違法(脱法)行為を次々と生み出す出品者たちにも驚かされるが、それ以上に驚くべきは、かなりの数が売れており、需要が確実にあることだ。これは一種の闇金融である。
多重債務者の数は、2014年の統計で16万人いるという。この数字に驚かされるが、2007年のピーク時には177万人だったというから、むしろ改善された方なのだ。(177万人ってなんだよ、この数字は。。。)
2010年に改正貸金業法が施行され、消費者金融会社の貸出総額に制限がかかったことで、以降、多重債務者の数は減少傾向にあった。
しかし、ネット上での個人間取引が増加していけば、規制を掻い潜る形で、また新たな闇金融が広がっていく可能性がある。メルカリは迅速な対応を見せたものの、類似の手法はこれからも次から次へと現れてくるだろう。
これは決してメルカリだけの問題ではない。利用者間の取引が可能なサイトであれば、どこでも起こりうる問題なのだ。そうしたサイトの運営者は、取引を当事者間の問題として放置せず、今後は利用者の管理をますます厳しくしていく必要があるだろう。この新たな闇金融の広がりに対し、早急な対策が求められている。
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