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ブックオフ、2期連続の営業赤字──変化する時代にどう対応するか

本とコーヒー 企業・経営
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時代の転換点に立つブックオフ──ビジネスモデル再構築の行方

 かつて「新古書店」という独自の業態で一時代を築いたブックオフであるが、近年その勢いに陰りが見えている。

 2017年3月期の業績予想によると、営業損益は4億円の赤字、最終損益も13億円の赤字となる見通しである。これにより、2016年3月期に続いて2期連続の最終赤字となる見込みであり、経営の厳しさが鮮明となった。

 株価も低迷を続けている。リユース事業への業態転換も十分な成果を上げておらず、主力である中古本の売上も低調である。かつて身近にあったブックオフの店舗も、この2〜3年で次々と閉店しており、利用者からは「これからどこで古本を買えばよいのか」といった声も聞かれるようになった。

 これらの状況は、ブックオフという一企業の経営力の問題というよりも、事業環境そのものが大きく変化していることに起因している。

電子化という時代の波──ブックオフが直面する構造的課題

 ブックオフの経営不振の背景には、「電子化」という歴史的な構造転換がある。この変化は数十年に一度レベルの大規模なものであり、多くの企業がこの流れに適応できずに淘汰されてきた。

 書籍、音楽、映像といったコンテンツは急速にデジタル化が進み、紙の本やCDなど、物理的な「モノ」への需要は年々減少している。ブックオフの従来型ビジネスモデルは、こうした市場変化への対応が遅れ、時代の波に取り残されつつある。

 この流れは、企業努力だけでは抗いきれないものである。ゆえに、ブックオフが生き残るためには、時代に即した新たな業態を模索しなければならない。

再建への方向性──リユース事業の拡大と店舗の大型化

 今後、ブックオフが再建を果たすための現実的な選択肢は、次の二つである。

  1. リユース事業の拡大
     本やCDといった情報コンテンツは電子化の波にさらされているが、家電、日用品、衣類など、日常的に使われる「モノ」の需要は引き続き存在する。これらを対象としたリユース事業の拡充こそが、今後の成長の鍵を握る。現状では成果が見えにくいが、この分野を継続的に強化する以外に道はない。
  2. 店舗の大型化と集約
     すべてのコンテンツが完全に電子化されるわけではない。紙の本やCDといったモノは一定の需要を保ち続ける。そうした需要に応えるためには、多店舗展開ではなく、商品点数を豊富に取り揃えた大型店への集約が有効である。商品を「探す楽しさ」「偶然の出会い」といったリアル店舗ならではの体験価値を提供できるかどうかが、今後の生き残りを左右する。

実店舗の価値を再定義せよ

 今後、生き残る実店舗は、単なる販売の場ではなく、「発見の場」「体験の場」でなければならない。リユース商品を中心としながら、顧客にモノを探す楽しみを提供できる大型店舗だけが、厳しい市場環境の中で存在感を保てる。

 ブックオフは今、歴史的転換点に立たされている。この先の経営判断が、日本における中古市場、ひいては「古本文化」の今後を左右することになるだろう。

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