化石と文字
古代の文字と恐竜の化石って似ていると思いませんか?
え?どこが似ているのかって?
どちらも形が残っていますが、そのほかの要素が分からなくなっています。
恐竜は、骨の化石が残っているので骨格や体格は復元できますが、皮膚がどんな色だったのかは、化石からは分かりません。
古典語は、文字は残っていますが、現在では、それをどう発音していたか、正確には分からなくなっています。
古代の発音を復元する
恐竜の皮膚の色は大体、トカゲやワニなど今の爬虫類から類推されたものです。最近は、鳥類だったっていう説が強くなって色鮮やかな復元図が登場していますが、そのうちDNAの解析が進んだら、本当の色が分かるようになるかもしれません。
でも、古典文字の発音に関しては、あまり大きな期待はできません。文字にはDNAはありません(笑)。
では、文字が残っていても話者がいなくなり、その発音が分からなくなってしまった古典語は、どのようにしてその発音を復元するのでしょうか?
けっこう不思議ですよね。
まったく手がかりがないわけでもありません。
たとえば、ラテン語やヘブライ語は、死語になっても教会や一部の学者の間で継承されていて、どのように発音するのかが現代に至るまで伝えられています。そのため、当時の発音がほぼ推測できます。ほかのヨーロッパ系の言語は、それを手がかりにして復元していきます。
ほかにも地方に古い発音が残されていたりすると、横の広がりの変化(地域差)から縦の広がりの変化(時間差)を推測したりする試みもあります。
日本語の場合だと、万葉仮名などの文字の使い分けを見つけ出して、何種類の発音があったかを推測します。あとは、古代中国語の漢字の発音から当時の発音の推測を行ったりします。
でも、それって、結局、予想ってこと?
そう思った方、はい、その通りです(笑)!
古代に録音機があるわけじゃないので、結局は、全部、推測ということになります。
古代言語発音集
古典語の正しい発音に関しては、専門家の間でもさまざまな説や議論があり、統一的な見解ができている言語はほとんどありません。
それでもある程度は、復元に成功している言語もたくさんあります。
YouTubeで、世界各地の古典語の発音を録音した動画があるので、ぜひ聞いてみてください。非常に興味深い動画です。日本の上代、中世の発音なども収録されています。
昔の人が、どんな風に話していたかって考えると、ちょっとわくわくしますよね!