季節に関わる相場格言
株式市場には、長年の経験則や市場の傾向をもとにした“相場格言”と呼ばれる言い回しがあります。投資判断の参考として使われるこれらの格言には、季節や暦に関係したものも多く存在します。その中でも有名なのが、「節分天井、彼岸底」と「セルインメイ(Sell in May)」です。この記事では、それぞれの意味と由来について解説します。
「節分天井、彼岸底」とは?
意味
「節分天井、彼岸底(せつぶんてんじょう、ひがんぞこ)」とは、日本株市場において 2月初旬の節分の時期に株価が天井(ピーク)を迎え、その後下落して3月中旬の彼岸(春分の日を中心とした前後1週間)ごろに底値をつける、というアノマリー(経験則)を表した格言です。
由来
この格言の背景には、年度末(3月)を意識した機関投資家や企業の資金移動・利益確定売りが関係しているといわれています。
- 2月:企業の第三四半期決算が出揃い、業績期待から株価が一時的に上昇(=天井)。
- 3月:決算期末に向けた利益確定やポジション整理の売りが出やすく、株価が下落(=底)。
また、年度末の資金需要による株式の換金売りが影響するとの見方もあります。
「セルインメイ(Sell in May)」とは?
意味
「Sell in May and go away(5月に株を売って市場から離れよ)」は、アメリカや欧州を中心に広く知られる相場格言です。
これは、5月に株を売って夏場の相場に参加せず、秋(10月頃)に戻るのが賢明であるという考え方を表しています。
由来
この格言は、過去の統計的な傾向から生まれたものです。
- 夏場(6〜9月)は取引量が減少し、株価のパフォーマンスが比較的悪い傾向がある。
- 投資家や機関投資家がバカンスに入ることもあり、市場が閑散とする。
- 一方、年末に向けた相場(10〜12月)はパフォーマンスが良いとされている。
そのため、リスクを避けて5月に一旦株を売却し、相場が回復する秋以降に再参入するという戦略が成り立ちました。
注意点:格言はあくまで「経験則」
これらの相場格言は、過去の傾向を元にした「アノマリー(規則性)」であり、必ずしも毎年同じように当てはまるとは限りません。
市場環境や経済情勢、地政学リスク、金利政策などの要因によって、相場の動きは大きく変動します。
投資判断を行う際は、格言だけに頼るのではなく、ファンダメンタル分析やテクニカル分析、経済指標などを複合的に活用することが重要です。
まとめ
格言 | 意味 | 時期 | 背景・由来 |
---|---|---|---|
節分天井、彼岸底 | 2月に天井、3月に底値をつけやすい | 2月〜3月 | 決算期・資金移動などの影響 |
セルインメイ | 5月に売って夏は様子見 | 5月〜10月 | 夏場の取引閑散・低パフォーマンス |
株式市場には、このような“季節のリズム”に基づく動きがあるとされています。相場の流れを読むためのヒントとして、これらの格言を頭の片隅に置きながら、柔軟な投資戦略を立てていきましょう。
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