廃品回収車、竿竹屋、灯油販売。。。迷惑な巡回販売に法的規制を!

犯罪の温床となる巡回販売

 前回の記事で地域に対して責任を持たない巡回販売が悪質化、犯罪化しやすいことを指摘した。今回はその2回目。

 廃品回収車、竿竹屋、焼き芋等その他食品販売、こうした不特定地域を巡回して廻る販売業者が、犯罪の温床になりやすい背景をざっと挙げてみると。。。

・消費者は、業者の連絡先が分からない。
・多数の地域を移動するため、同じ顧客に合う可能性が極めて低い。
・営業所を持たないため、行政が事業者をほとんど把握していない。
・行政が事業者を把握していないため、無許可営業が横行している。

 そのため何十年もの以前から、巡回販売を行う事業者による犯罪が後を絶たない。
 恐喝、詐欺、不法投棄、空き巣、窃盗など、さまざまな犯罪が報告されている。

参考
廃品回収業者とのトラブルに注意! – 国民生活センター
高額な料金を請求する不用品回収・処分業者に注意! – 東京くらしWEB
不用品回収業者・廃品回収業者の違法操業と騒音対策まとめ
自称廃品回収業は疑惑の総合商社?

 近年、巡回販売業者による犯罪は増加傾向にある。以前からこのような業者による犯罪は多発していたが、高齢の独居老人などが増えていることから、高齢者や弱者を狙った詐欺や恐喝が巡回販売業者の間で横行しているようだ。振り込め詐欺が増加しているのとまったく同じ背景だ。
 巡回販売という、このような事業形態そのものに問題があることは、はじめからわかりきったことであるのにもかかわらず、行政、議会ともに無為無策を続けている。
 今まで全く野放しにされてきた巡回販売を法的規制の対象として検討すべき時に来ているのだはないだろうか。

巡回販売とその他、移動販売の違い

 巡回販売の全面禁止を求めようとすると、外出の難しい高齢者にとっては、かえって不便になるのではないかといいう意見がある。
 そこで、巡回販売と似た形態の業種として、移動販売、訪問販売等との違いを考えてみたい。

①移動販売

 移動販売は、店舗が移動型というだけで、実際の販売活動は、一定の場所に留まったまま行っている。これは、出張販売の一種として捉えるべきだろう。まずこの点で巡回販売と移動販売は全く違うものだ。

 巡回販売は、不特定の地域を対象にして、拡声機を使った放送を行いながら巡回している。
 それに対し、移動販売は、特定の場所に移動可能な店舗を一時的に設置して営業を行っている。このような販売形態は、過疎化の進む地域や外出の困難な顧客に対して出張販売を行っているという点で有益で、公共的な価値がある。また利用者からの要望も多いだろう。出張販売の一形態としての移動販売は、営業許可を得て、指定された特定の場所で行う限り特に問題はないだろう。

 駅前やオフィス街など顧客が多く見込める特定の場所に小型の可動型店舗を置いて一時的に営業している移動販売や、過疎化地域や高齢化の進む地域で出張販売として行っている移動販売等は、自治体の許可さえ正しく取得していれば、大きな問題になることは少ないように思う。
 このような移動販売は、海外でも広く一般的に見られるものであり、なにより、巡回販売のような社会問題化するほどの深刻な被害(恐喝や詐欺、高額請求等)が起きていない。中にはもちろん粗悪なものを売る業者もいるだろうが、設置許可の時点で行政に届け出があるので、悪質な業者はすぐに指導の対象になっている。いずれ、そのような業者は、取り締まられるか市場から淘汰されるかして、消えていくだろう。

 巡回販売で問題になっているような恐喝等の犯罪は、移動販売では、ほとんど起きていない。移動販売が社会問題化しない要因にはやはり、一時的とはいえ、特定の場所で営業していることが大きく影響していると思われる。業者を特定しやすいため、信頼性という点で、次の瞬間には居なくなっている巡回販売とは、やはり大きく異なるのだ。

 移動販売は、特定の地域、特定の顧客層との結びつきが強いという意味で、巡回販売からは区別するべきだ。

②訪問販売

 では、拡声機による営業を必要としない訪問販売はどうだろうか。訪問販売は、拡声機を使って巡回しているわけではないが、各戸を不特定に回っているという点では巡回販売と変わらない。
 訪問販売は、実際の販売活動の際に不特定地域を巡回している。業者の連絡先が不明確になりやすい、という問題の構造は、巡回販売とまったく同じだ。この点からも訪問販売は、巡回販売と同様の業態と考えてかまわないと思う。

 周知のように、訪問販売も巡回販売と同じく、悪質な企業の温床であり、何十年も前から社会問題として取り扱われてきた。このように考えると、巡回販売と訪問販売は、その営業形態において非常に似通った性質を持っていることが分かる。どちらも特定の場所を定めて、その場で営業を行っているわけではなく、業者が特定されにくいため、犯罪的手法を用いた営業が横行しやすい。

 以上の点を踏まえて、巡回販売に定義を与えてみよう。
 巡回販売とは、すなわち、「拡声機による告知を行いながら不特定地域を巡回する営業」のことを指す。そして、このような営業形態が、日本以外の国にはほとんど見られない特異なものであり、また、悪質な業者を生み出しやすいのは明らかだ。これ以上、被害を拡大させないためにも、法的規制の対象にするべきだ。

巡回販売による被害をなくすために

 巡回販売に関しては、「需要があるから成立している」だとか、「外出の難しい高齢者などには、利便性が高い」などの擁護論が平気でまかり通っている。
 しかし、巡回販売の被害者として報告されている人々とは、まさにそうした高齢者であって、被害報告などの情報に触れることの難しい情報弱者が被害の中心になっている。需要があるという理由で巡回販売を野放しにしてきた結果が、被害の増大なのだ。そうした情報弱者を保護するためにも行政による規制が必要なのだ。