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【提言】社会保障制度を国で一元化せよ──雇用形態に関係なく「生きる安心」をすべての人に

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社会保障制度改革の実現へ

 前回の記事では、雇用形態によって社会保障に大きな格差があるという問題を提起しました。正社員、非正規、自営業者によって、受けられる保障に差がある——それは本来「全員に等しく」与えられるべき社会保障の理念に反します。

 では、この問題をどう解決すべきか。
 その答えは明確です。
 社会保障制度を「国が一元的に運営する」体制に改革すべきなのです。

なぜ「国による一元化」が必要なのか

 現在の日本の社会保障制度は、「企業単位」で設計された仕組みがベースになっています。企業が社会保険の加入手続きを担い、保険料を労使折半で納める仕組みです。この構造が、非正規雇用やフリーランス、短時間労働者の排除につながっています。

 国が社会保障制度を一元的に運営すれば、個人の雇用形態や勤務先にかかわらず、すべての人が等しく社会保障を受けられるようになります。

一元化によって実現できること

1. 社会保険の格差解消

 すべての就労者(および就労していない人も含む)が、雇用形態に関係なく一律の条件で健康保険・年金・雇用保険に加入できるようになります。

2. 行政コストの削減と手続きの簡素化

 現在は、企業ごとに社会保険事務手続きを行うため、事務負担やコストが莫大です。これを国で一元管理すれば、申請や管理の手間が大幅に削減され、効率化が進みます。

3. フリーランス・自営業者のセーフティネット強化

 現行制度では、個人事業主やフリーランスは国民健康保険・国民年金といった不利な制度に偏っています。一元化によって、彼らにも会社員と同様の保障を提供することが可能です。

4. 雇用の柔軟性と移動の自由

 転職や副業をするたびに社会保険の手続きを変更する必要がなくなり、労働市場の流動性も高まります。「保障があるから安心して働き方を選べる」社会が実現します。

具体的な制度設計案

  • 全国民共通の社会保険口座制度を創設し、雇用先に依存せずに保障が管理される仕組みにする。
  • 保険料は「所得に応じた比例課税」で徴収。企業の負担分は法人税として一本化し、個人がどこで働いても保障に差が出ないようにする。
  • 年金・医療・介護・雇用保険など、すべての制度を一体化し、「社会保障庁(仮称)」が一元的に運営する。
  • AI・マイナンバー・デジタル庁と連携し、個人の労働・所得情報をリアルタイムで把握し、保障に反映。

よくある懸念と反論

「企業負担が軽くなりすぎるのでは?」

 → 企業が直接保険料を負担する仕組みから、法人税で全体的に支える形にすることで、公平性を保ちながら簡素化できます。

「フリーライダー(ただ乗り)が増えるのでは?」

 → 所得捕捉を正確に行い、すべての人に所得に応じた負担を求める設計とすれば、不公平感は防げます。

「既存制度との整合性はどうするのか?」

 → 移行期間を設けて段階的に統合を進めることで、制度の混乱を抑えながら円滑に移行可能です。

いま必要なのは「保障のベーシックインフラ化」

 電気・水道・道路が全国民に共通して提供されるように、社会保障も「国民の基礎インフラ」として、普遍的に提供されるべきです。
 企業に依存しない、雇用形態に左右されない、「生きることそのものを支える制度」を国が責任をもって運営する——それこそが、持続可能な社会保障のあるべき姿です。

社会保障制度の一元化で、分断のない社会へ

 社会保障は、国民の命と暮らしを守る最後の砦です。
 その制度に格差があり、人を分断しているのであれば、それは制度のあり方そのものを見直すべき時です。

 国による社会保障の一元化は、「誰もが安心して生きられる社会」への第一歩です。

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