世界で称賛される、美しき国、日本。
人々は礼儀正しく、穏やかで、マナーを大切にする。治安は良く、街の通りにはほとんどゴミが落ちていない。建物も清潔に保たれ、整然とした美しい町並みが広がっている———
日本を訪れた人々は、その美しさに感動し、賞賛の声を上げる。世界の中でも、日本は最も美しい国の一つとして高く評価されている。
美しき国———ニッポン。

で。
現実がこちら↓
ニッポンの繁華街…

ニッポンの一般住宅街…

。。。
繁華街では…
乱立する雑居ビル。。。狭く入り組んだ雑然とした通り。。。猥雑でけばけばしい看板とネオン。。。
ところ構わず設置される自販機。
店先で、大音量の音楽を流している量販店。拡声機でがなり声を上げているドラッグストアや携帯ショップ。。。
しつこい客引きと、あちこちで、もどしている酔っ払いたち。。。
一般の住宅街では…
建物の外観や高さ、配置に一貫性がなく、雑然と並ぶ住宅。統一感なく、好き勝手に立ち並ぶマンション。区画整理の全くないグチャグチャな街路。。。張り巡らされる電線。道路の形状も複雑で、歩きにくさや防災面での不安もある。
初めて日本を訪れた外国人観光客の中には、こうした雑然とした景観に驚きを覚える人も少なくない。
観光立国としての責任
東京オリンピックを控え、日本は官民一体となって訪日観光客の誘致に力を入れてきた。2015年には訪日外国人が年間1973万人を記録し、政府は当初の目標であった2000万人をほぼ達成。これを受けて、2020年には3000万人を目指す方針が打ち出された。
実際、訪日客数は年々増加しており、2016年3月には単月で過去最高となる201万人を記録。とくに中国、韓国、台湾など東アジア地域からの観光客が多くを占めている。
数より質——真に選ばれる国へ
訪日客数の増加そのものは歓迎すべきことだが、果たして現在の都市景観や街の在り方が、観光客にとって快適で魅力的なものとなっているだろうか。
景観の乱れた都市空間のままであれば、訪れる人々は一部の特殊な趣向の人々——爆買い目的の中国人と新宿のネオン街や秋葉原なんかのゲテモノ見たさの外国人——だけに限られていくだろう。


観光立国を目指す、というのはこれからの日本の成長戦略として重要なことだ。
しかし、ただ訪日客が増えればいい、というだけの観光立国に、本当に訪日客が満足すると考えているのだろうか。
観光を持続的な産業として育てるためには、単に「来てもらう」だけでなく、「また訪れたい」と思ってもらえる環境づくりが不可欠だ。
都市の景観、街の快適さ、美しさ——こうした要素は、表面的な印象以上に、国の価値を左右する。
世界に誇れる“美しき国、日本”を実現するために、今こそ本質的な都市整備と美観への意識が求められているのではないだろうか。
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