【自粛疲れ?】「緊急事態宣言」から「蔓延防止措置」に変わって、人出は変化するのか?

蔓延防止等重点措置(通称「まん防」)東京都など首都圏適応へ

 新型コロナウイルスの感染状況悪化を受けて、『蔓延防止等重点措置』が4月5日から大阪・兵庫・宮城の3府県に、同月12日から東京・京都・沖縄にも適応された。

 3月22日に緊急事態宣言が解除されて、僅か3週間足らずでまた首都圏は自粛生活を余儀なくされることになった。

 緊急事態宣言から蔓延防止等重点措置へと政府の対策は移行したが、これによって国民の生活はどのように変わるのだろうか?

 政府は、蔓延防止等重点措置によって、地域を絞って重点的な対策が取れるようになると説明する。

 だが、その内容を見てみると、緊急事態宣言から何が変わったのか全く分からない。

・飲食店に対し夜8時までの時短営業を要請・命令できる。
・住民に対し、不要不急の外出を要請する。

 蔓延防止等重点措置の内実はこれだけである。緊急事態宣言に比べ、地域が限定されたということ以外に実質的な違いは一切ない。

 すでに2度目の緊急事態宣言の時点で、国民の間には「自粛疲れ」「宣言慣れ」が広がっていて、自粛の効果はほとんど見られなかった。都内の人出は増加傾向で、政府による自粛要請が全く意味をなしていないことが明らかだ。

人出の増加傾向が続く首都圏

 なぜ、政府による自粛要請は全く効果を上げることができないのだろうか?

 政府や専門家があげる原因は以下のようなものだ。

・感染症に対する危機感が、国民の間で薄れてきている。
・中国のような人権を抑制するような強制的手段が取れない。

 はい?

 諸外国に比べ、多くの日本人は抑制の取れた自制ある行動をとっている。
 それに、中国政府は、感染拡大を阻止したと公表しているが、それがどこまで信用できるかは非常に疑わしい。中国政府の発表が信用できない以上、国民を徹底した監視と管理の下においたとしても、感染拡大を防げるのかどうかは不確かだ。
 結局、このような指摘は、政府の言い逃れでしかなく、責任の所在をあいまいにさせているだけだ。

 緊急事態宣言にしろ、蔓延防止等重点措置にしろ、実際に政策上では、飲食店の営業時間を規制しただけのものにしかなっていない。

 政府の政策が、ただ国民に外出の自粛をお願いするだけで、法的な裏付けのある実効的な対策でも、「飲食店を規制しただけのもの」でしかないものが、効果を発揮できるわけがない。

 対策の方法、規制を行う対象がそもそも根本的に誤っているんじゃないだろーか。🤔

 (ん?ほとんどの国民は気づいているって?)

 ヨーロッパ諸国やアメリカほど感染状況が深刻でない日本は、強制的な都市封鎖を行うことは合理的ではない。そのため、感染症対策は、経済への影響を最小限にしつつ行うべきだ。
 これは政府の間でも大多数の国民の間でも共通の認識だろう。

 そこで政府は飲食店だけを規制の対象として、その他の経済活動は自由にするという対策をとってしまった。これがそもそも根本的な間違いだ。

社会的責任の大きい大企業に対する規制こそ最重要

 三密を回避することが感染症対策の基本なのであるから、都市への一極集中を緩和することこそが重要で、都市への人口密集を避けることができれば、感染症対策と経済活動は両立できたはずだ。

 飲食店を狙い撃ちしたところで何の意味もない。都市部への人の流れを制限することこそが重要だ。

 そのために必要な対策は、都市部へ出勤する人の流れを抑えることだ。

 具体的には、大企業の遠隔勤務(Remote Work)8割を義務付けること。
 資本金3億円以上かつ従業員300人以上の大企業には、従業員の8割の自宅勤務を義務付ける。もし8割達成できなかった企業に対しては前年度の純利益の3割を医療者支援金として政府に支払わせる。(本気で言ってますっ!😤)
 このようにして、大企業には都市部への人の流れを抑えることで感染拡大防止に貢献するか、あるいは医療者支援金を支払うことで感染症対策に貢献するよう企業に対策を求めるべきだ。(本気ですっ!😤)

 経団連会長は、緊急事態宣言発令に当たって、時短要請に従わない飲食店に対し、罰則を求めるよう提案しているが、当の大企業自らは感染症対策に対してなんら社会的責任を果たしていない。資金力のある大企業こそが、率先して遠隔勤務(Remote Work)の環境構築に努めるべきだろう。

 首都圏への人の流れが抑えられれば、感染拡大防止対策は十分効果を発揮するはずだ。実際、首都圏、観光主要地以外での顕著な感染拡大はほとんど起きていない。首都圏への人の流れが規制されれば、歓楽街への人の流れも必然的に減少し、飲食店が時短営業を行わなくとも、人の流れが分散して密な状態を避けることができる。

 都市部への人の流れが抑えられれば、必然的に繁華街の飲食店の混雑は解消される。わざわざ飲食店を狙い撃ちにして規制を行う必要はない。時短要請協力金の支払いも必要なくなる。(時短要請協力金は、全く公平性を欠いたバラマキ政策であり、さらには不正受給の温床になっている。)

 大企業に対してはなんら規制がなく、立場の弱い飲食業界に対してのみ厳しい規制が行われているのは、政策合理性の上で決められたことではなく、政治的な圧力の強い業界団体の意見がただ通っただけの結果に過ぎない。

 飲食店は感染の危険性が高く、満員電車は安全であるなどという科学的根拠など一切ない。

 満員の公共交通機関は、対象が不特定で広範囲に及ぶので、クラスター調査が実質不可能で行われていないというだけのことに過ぎない。市中感染が広がっているのに、飲食店だけが主な原因なわけがない。飲食店は仲間内の集団で利用するため、クラスター調査が行いやすいというだけのことだ。

 大企業を規制せず、飲食店のみを規制する今の政府の方針に対して、国民の大多数は信頼していない。飲食店だけ規制したところで意味がないと誰もが実感しているからだ。

 その結果が、「自粛疲れ」「宣言慣れ」であり、自粛要請を軽視する人々の続出なのだ。

 なぜ、大企業はのうのうと出社を続けているのに、飲食店だけが時短営業を迫られるのか?なぜ、飲食店は感染の危険があり、満員電車は安全といわれるのか?国民に自粛をしろという割には、オリンピック関連事業だけは開催が許されるのか?
 国民の間には、根拠が不明確で、不公平な政策に対して、不信感が募っている。

 政府がこのまま大企業を優遇し、何の規制も行わなければ、いくら緊急事態宣言を発令しようと蔓延防止重点措置を講じようと、感染状況は何ら変わらないだろう。何よりも国民の信頼が得られない。国民の信頼が得られなければ、国民の協力も得られない。国民の協力が得られなければ、自粛の効果も現れない。

 政府には、末端をこまごまと規制するだけの対策ではなく、社会全体の流れを見た大局的な観点からの対策が求められている。