電子書籍の表紙

 最近は電子書籍を購入する機会が非常に増えた。まだ紙の書籍の方が読みやすいのは確かだが、置き場や持ち運びを考えると、やっぱり紙の書籍を買おうという気がおきなくなる。読み捨てにしてもいいような本だけを紙媒体で購入している。

 しかし、私のような電子書籍推進派にとっても電子書籍を購入するにはまださまざまな障壁がある。

 まずは値段だ。
 今の電子書籍の値段は、紙媒体の書籍と同じ価格か、あるいは1割から3割程度の値引きで、まだまだ高すぎる。

 電子書籍は、所有する権利を購入しているのではなくて、読む権利を得ているだけだ。電子書籍を提供しているAmazonやAppleがサービスの提供を止めてしまえば、その権利の保障は怪しくなる。他の企業が引き継ぐ可能性が高いが、実際どうなるかはその時になってみないと分からない。
 そのため、物理的に所有していないという利用者の不安を払拭するほどの価格的な優位性がないと多くの人は購入に踏み切れないだろう。

 もちろん、こうした不安は、銀行がつぶれたら銀行に預けた金はどうなるとか、cloud strageに預けたデータはいつまで保障されるの、とかいった類いのものと同じで、それほど心配する必要がないものだと思う。企業の事業撤退や倒産を心配しすぎてお金もデータも全部自分の手元に置いておく方が、よっぽど紛失する危険が高いだろう。

 なので、電子書籍ももう少し安くなれば、一般にもっと普及すると思うのだが、今のままではまだ中古本の需要は落ちないだろう。Bookoffが倒産する心配はしばらくなさそうだ。

 そして次に電子書籍の購入をためらわせる障壁になっているのが、表紙画像だ。
 日本広しと言えど、おそらくこの点を突っ込んでいるのは私一人ではないだろうか(笑)。

 どーいう訳か、日本の電子書籍の表紙画像には帯が映りこんでいる。これがどーしょうもなくダサい、醜い、安っぽい。

 紙の書籍に関しても、この帯、邪魔だと思うのだが、それでも紙であれば捨ててしまえばそれでいい。だが、電子書籍の場合は、一度購入すると二度と表紙画像を変更できない(出版社側が表紙画像を変更する可能性もあるが、その場合でも帯無しの画像から帯付きの画像に「改悪」する場合がほとんどだ)。
 こんな細かいこと気にしているのは私だけなのかもしれないが、蔵書家の中には本をただのインテリアにしている人もいるぐらいで、書籍の装丁というのは本を購入する上でひじょーに重要な要素なのだっ!私も大量の本をインテリアとして活用している。
 実際の本に関しては、細かい美意識にこだわっている人も多いと思うのだが、どういうわけか、電子書籍に関しては無頓着な人がほとんどだ。

 ホント、日本全国で電子書籍の表紙画像に拘っているのは私ぐらいのようだ。

 そこで、表紙画像の糞醜さ、醜悪さを理解してもらうために類型別に事例を挙げておこう。

①電子書籍用に新たな画像を用意する場合

 何これ?吉川英治の三国志全八巻を一つの電子書籍にまとめたものだが、何なのこのやっつけ仕事?
 講談社の吉川英治文庫は、表紙絵が非常に味わいがあって気に入っていて買い揃えていたが、この電子書籍版の表紙を見たときには、えらく落胆した。
 なんなんじゃ、こりゃ。表紙絵画家に謝れ!吉川英治の電子書籍版が出版されたというので買い換えようと思っていたが、この表紙絵を見て購入を止めた。

 司馬遼太郎に至ってはこんな感じ。

 もうこんなんなら表紙画、要らないじゃん!元の表紙絵の無残な扱われ方に涙を禁じ得ない。。。😢

 日本のAmazonで日本語対応の電子書籍が出版される2012年以前によく米Amazonで電子書籍を購入していたが、紙書籍の複数巻を合本して一つの電子書籍にして販売する際、新しい表紙を準備していて非常に感動したのを覚えているが、日本で合本版が販売されたらこの有様だ。

②著者や推薦者の顔や名前が、どあっぷ!

 これも何なんだろう?おっさんの顔など見たくもない。池上さんは著者としては尊敬するが、決してご尊顔を拝して気分のいいお方ではない。こんなおっさんのドヤ顔のガッツポーズなど、電子書籍開くたびに見たくない。

 もう顔だけじゃ飽き足らないのか、全身画像。

 帯や表紙に必ず載る御尊顔と言えば、この方も忘れてはいけません。

 この方もホント自分大好きだよなぁ。顔のドアップがない本を探す方がムズカシイ。

 これらの場合はまだ著者本人の顔だからましだが、単なる推薦者の顔やら名前やらがでかでかと載っている場合がある。書籍自体との関連性すらない。どれほど内容のすばらしい書籍であっても、そのような表紙画像を使った電子書籍を購入することは私の場合、絶対にない。絶対にだ!

③陳腐な宣伝文句の羅列!

 これが一番多い。電子書籍の表紙画像に、帯の映像をそのまま載せている。それも極めて陳腐で下らない宣伝文句が書いてある。新書だけでなく、学術的な内容の本に関してもまったく同じだ。やはり帯の宣伝文句を載せる。電子書籍は買ったら最後、永遠とこの下らない宣伝文句を見させられ続けるのだ。

 日本の出版社は本気で電子書籍を売る気があるのだろうか。

 一体どーゆう市場調査やってんだ?

 いや、むしろ市場調査の結果がこれなのかもしれない。。。日本人のような美術的感性が根本から欠落している民族には、宣伝文句をガチャガチャと書いた方が売れるという市場調査の結果なのかもしれない。。。😱

 まぁ出版社がどーいう考えでこういったしょーもない表紙画像を選んでいるのか知らないが、実際、表紙画像に新たな経費をかけるより、宣伝文句をベタベタ張った方が売り上げにつながるのだろう。

 街中に看板乱立させて、そこら中に自販機大量に置いて気にしない日本人なのだから、そーいう結果が出るのは当然と言えば当然なのかもしれない。なんか、やな現実だな。。。

 いや、まだ諦めてはいけないっ!たとえ極少数派の意見であっても訴え続ければ、いつかは状況が変わるかも。。。

 電子書籍の表紙にこだわるような人間は、今のところ日本全国で私一人だが、いつそれが多数派になるか分からないですよ!出版社の皆さんっ!!